マンション管理士の独り言・・・790

「マンションの植栽」

緑が多いマンションは誰もが素敵と感じ、緑は少ないより多い方が良いに決まっていると思っている事でしょう。
確かにそうですが、分譲当初は小さかった樹木も年月が経つにつれ大きな木に育っていきます。
大きく育って枝ぶりのいい木は、見ていて気持ちいいのですが管理組合にとってはそうでもないというか、どちらかというと厄介者です。

この時期落葉樹は、葉を落とします。その葉っぱが、バルコニー内に入ってきて掃除が大変、車のワイパーに挟まるなどの苦情が寄せられます。
多くのマンションでは、年に2回剪定を行いますが、その都度“大胆に伐採して!”と依頼しますが、あまりやり過ぎると、“切り過ぎだろ”って言われちゃいます。

特に厄介なのが桜の木です。開花の時期はマンション全体もピンク色に染まり素晴らしいのですが、その時期を過ぎると落ち葉、樹液、さらには毛虫まで発生します。
特に樹液が厄介で、車のボディーにつき、ほおっておくとこびり付いて取れなくなっちゃいます。
“2日おきに洗車しなきゃなんない”“ボディにかけるシートを購入した”なんて苦情が寄せられます。
また、根の張り方もすごいので、油断しているとすぐに排水桝に侵入します。
生活排水を流す桝ですから桜の根っこにとっては栄養満点です。みるみるうちに大きくなっちゃいます。
歩道のそばならば、アスファルトやインタロッキングを持ち上げちゃいます。

桜開花のシーズンを終えると必ず“桜の木を切ってくれ”という要望が寄せられます。
しかし切ることなかなか出来ません。
チェーンソーで切ってしまえば簡単に切れますが、切るには総会での承認が必要です。
費用面ではなく、切ることそのものに対しての賛同がなかなか得られません。
桜の実害に遭っていない方からすると、“年に1度愛でているのに。素晴らしい眺めじゃん。”という意見が出され、挙句には“木も生き物。人間の都合で簡単に切っちゃいけないよ”なんて道徳的に諭されちゃいます。

自慢じゃないですけど、「桜の木の伐採」という議案を2つのマンションで提案したことがあります。
しかし2度とも承認されませんでした。
桜の木に限らず、樹木を根元から切ってしまうことはなかなか容易ではありません。

高木に限らず、中低木もその維持管理には手間暇と費用がかかります。
雑草も生えてきます。土蜂なんかも発生します。
外構計画時に樹木がない、緑がない、となると殺風景な外構のマンションになるので“植えないでください”とは言いませんが、なるべくなら維持管理に手間暇のかからない植栽を選定してもらいたいものです。

「後は管理組合さんよろしくね」って感じがする樹木や設備が多いのが気になります。