マンション管理士の独り言・・・794

「将来住民間でトラブルになる設備・・・1」

設計士さんもマンション売主さんも知らないのですが、住んでから以降マンション居住者間で必ずトラブルになる設備シリーズです。
まずは、バルコニー手摺下部に設置している雨水排水設備です。
多くのマンションでは、その住戸のバルコニー排水はバルコニー手摺下部の排水溝、排水管で処理されています。
一つの住戸の雨水排水はその住戸のみで完結となっていればいいのですが、まれに隣の住戸のバルコニー排水を自分宅のバルコニー排水溝で処理するようになっているマンションがあります。まれではなく、結構な数です。
隣戸バルコニーと自分宅のバルコニーを隔てている隔て板の下部が空いていて、隣戸のバルコニー排水を自分宅のバルコニー排水溝、排水管で処理しなきゃならなくなっているのです。

しかも排水溝が逆勾配になっていたり、ほとんど勾配がとれていないという住戸が結構な数あります。
逆勾配やほとんど勾配無きに等しい場合には、バルコニー床や排水溝の一番低いところに常に水が溜まり、挙句には苔むしてきます。
水下(ミズシモ)にお住まいの方は、雨が降る都度、箒で溜まった水を排水管へ押し込むようにしています。
それでも自分宅へ振り込んだ雨水なら何とか我慢できますが、隣戸の雨水が自分宅へ流れ込んできて逆勾配のために溜まった水を箒で押し込むのは我慢なりません。

隣戸の住民はそんなことは全く知らない、って状況です。
全く知らないので、お隣同士が顔を合わせても簡単な挨拶止まりです。
いつも箒で押し込み作業をやらされている方は、「隣の人はゴメンナサイネ、の一言もない。常識がない」なんてレッテルを貼り、嫌悪感を抱きます。
そんな状態がしばらく続き、ついに業を煮やした箒作業の人が、隣戸バルコニーから雨水が流れ込まないように、隔て板下部の排水溝を堰切ってしまいます。
お隣さん同士が嫌な雰囲気になってしまいます。

「バルコニー隔て板下部の排水溝を塞がないで!」って掲示を何度したことか・・・。

このつぶやきを見た人は、自分宅のバルコニー排水溝がお隣さんとつながっているかどうかを今すぐ確認しましょう。
そしてもし水上(ミズカミ)ならば、排水が流れていく先のお隣さんへ迷惑を掛けていますので、お会いした折には、「バルコニー排水がお宅へ流れて行ってご迷惑をお掛けしています。」くらいの挨拶をしなきゃ、ですよ。

よ~く考えれば、水上(ミズカミ)住戸の方が水下(ミズシモ)迷惑を掛けている、というのもオカシイ。
こんな排水計画にした設計士、こんなところでお金をケチった売主が悪いのです。
マンションを購入しようとする人はこんなことには気づかないでしょうけれど、マンションライフで一番避けるべきなのは住民間トラブルですよ。
自分が大声張り上げて、他のマンション住民から嫌われるのは自分のせいで仕方ないけど、売主がケチったことによる、住民間でのトラブルは御免蒙りたいものです。