マンション管理士の独り言・・・800

「漂流マンション・・・北九州市への提言」

分譲マンションでは、「建物そのものの劣化」「そこに住まう住民の高齢化」が全国的に問題になっています。
平成25年に公表されたマンション総合調査では、世帯主が60歳以上という住戸が全国で50%を超えています。
今やマンション2世帯のうち1つは世帯主が60歳以上という現状です。
そのような環境下、北九州市は政令指定都市の中でも断トツ高齢化が進んでおり、「住民の高齢化」はもっと進んでいると考えられます。
しかも毎日新聞記事にもあるように、「管理組合がない」「積立金がない」というマンションが文面からも全国ワースト1で間違いないようです。

さらに、北九州独自の分譲駐車場という売主のいかがわしい販売方法や、竣工時に未販売住戸の管理費などを売主が負担しない、などが管理組合の適正な管理運営の肩に負の遺産として重くのしかかっています。
また、小規模で自主管理のマンションが多いのも北九州の特徴です。
小規模マンションは、管理費や修繕積立金が貯まりにくく、何を行うにも一時金が発生しやすくなり、このため必要な保全管理やメンテナンス、補修が実施できない傾向にあります。

北九州市でもこのような現状をただ黙って見ているのでなく、住宅政策課が一昨年春にはマンション実態調査を行いました。
さらに今までは、“相談ある人は相談に来てね”って受けの姿勢だったものを“要請あれば北九州市から専門家(マンション管理士)をあなたのマンションへ派遣しますよ”って制度を立ち上げました。
このどちらにもつぶやき主が関与し、スキームを構築しました。
細かいことを根に持つようですが、月に一度の定例会議に駐車場代金も自腹で参加していたのです。
実態調査では、このようにすれば到達率が高くなる、って方法やアンケートの内容についてもアドバイスを行いました。専門家派遣制度に関してはつぶやき主の発案が採用されたものです。

しかし残念ながら、これら北九州市の取り組みは、他の公共団体がやっているし、さらに国交省からも何か実施しろと言って来てる、と何かやらなければ不味いじゃん、って感じが見受けられました。
事実、市内マンションの実態調査のデータは、協力者のつぶやき主にも見せてもらえませんでしたし、聞くところによると他の部署にも公開していないようです。
また、同様なアンケートを実施した福岡市ではアンケートの返却がないマンションほど管理不全に陥っているのではないかと考え(大正解!)、それらマンションに対しマンション管理士を雇って1棟1棟聞き取り調査に行かせました。
北九州市でも聞き取り調査を行いましょう、と口をすっぱくして提言したのですが、取り敢えず今回はアンケートを実施するところまで、で提言は生かされませんでした。

その後数年経ちますが、まだ目立った次索はないようです。

ハッキリ言って市長はじめ担当者には当事者意識と危機感が足りません。
このままでは北九州マンションはスラム化へまっしぐらです。
どの都市でもマンションは便利のいい街中に建っています。その街中に煤けて、汚い、スラム化したマンションが沢山建っていたら、みっともないと思わないのでしょうか。
映画ロケの誘致、世界遺産登録など観光客を引き込もうとやっきになっています。
しかし街中にスラム化したマンションが沢山ある市へ誰が足を運ぶのでしょう?

次回は具体的な提言を