マンション管理士の独り言・・・802

「近隣対策」

商業地や住宅地にかかわらず、マンションが建つような便利のいいところには、そのマンションの隣接地にもマンションなどの高層建物が建つ可能性があります。
一団の大きな土地があれば、まず間違いなく高層建物が建つことになります。
近接地にマンションなどの高層建物が建つときに例えばマンション管理組合はどのような対応をとるべきか、或いは事業主にどこまで要求できるのか、についてつぶやきます。
今週号の「リビング北九州誌」にはホンの触りだけ触れていますが、もうちょっと踏み込んでつぶやいちゃいます。

北九州市には、「北九州市中高層建築物等の建築に関する指導要綱」というのがあります。
主な内容は、中高層建築物を建てようとする事業主などは、近隣の住民に対して説明会を実施しなければならない。建てられる建物によって日常の生活に著しい障害が生じる場合には、その障害を受ける者と予め協議し、障害を及ぼさないようにしなければならない、というものです。

事業主などは建築基準法に合致していることを確認してもらうため、北九州市建築局審査課や確認検査機関(北九州市では日本ERIが多い)に建築確認申請を提出し、確認がなされた後でなければ工事を着工することが出来ません。
この確認申請を提出する際には、近隣への説明会を実施したという書面を添付しなければなりません。このため近隣への説明会の実施は不可欠となります。

ここで注意を要するのは、近隣に対しては説明会を実施すればそれで足り、近隣住民のその中高層建物の建築に関しての承諾などは必要とされていないことです。
不在者に対しては、3度訪問し3度とも不在であっても説明会を実施したことと見做されます。
説明会も開催数に決まりはなく、基本的には1度開催すればOKです。

このような状況下、管理組合とれば何をなすべきか、ですが基本的にその建築物が建つことを止めさせることは不可能です。
日本の確認申請制度は、建築基準法など各種法律や法令に合致していることを確認してもらうだけのもので、確認検査機関や市などが許可や指導を行う余地はないものなのです。
つまり法律や法令に合致していれば、必ず確認され建築物が建つことになります。

管理組合は、建築そのものの取りやめを求めるのでなく、建つことによる影響や障害を最小限に抑えることに注力することになります。
具体的には、事業主に建築前住んでいるマンションの垂直や平行、タイルの接着状態を調べてもらい、建築後に工事の影響でひずみが生じていないかの確認が必要です。
仮にタイルが割れた場合、事前に調査していないと、工事による被害を証明するのは至難の業になります。
「以前から割れていたんでしょう」「この建物の建築が本当に影響したのですか?」などと言われちゃいます。

また、工事車両のアクセス(どのルートを通るのか?)や警備員の人数や配置場所についても確認が必要です。
アクセスルートが小学生の通学路となっている場合は、ルート変更や警備員の人数を増やすことを要望します。
つぶやき主は顧問としてお世話しているマンションの近接地に中高層他建築物が建つ際に、工事車両のアクセスルートを変更させたり、警備員の人数を大幅に増やすことを認めさせたこともあります。

これがマンション管理士の仕事か?って言われると、そうじゃないかな、とも思います。