マンション管理士の独り言・・・803

「よ~く確認しよう」

つぶやき主がかつて勤めていた新日鉄都市開発(現:新日鉄講和不動産)が八幡西区鉄王に「リビオ鉄王」というマンションを新規分譲しています。
この「リビオ鉄王」が変なのです。
確認申請が平成28年2月で竣工が平成29年3月です。
建築確認申請が確認されるまで着工しちゃダメですから、建築工期は13か月ということになります。
この建物は、地上14階建てですから14階建ての建物を13か月で建築することになります。

一般的な建築工期は、階数×1か月+3か月というのが相場です。
つまり14階建てならば14階×1か月+3か月=17か月となります。
大英産業さんは全体階数+3か月を3か月じゃ短いってことで5か月に設定しています。
新日鉄講和不動産が13か月で竣工させる「リビオ鉄王」がもし大英産業さんなら建築工期19か月ってことになります。大英産業さんより半年も前に竣工します。

コンクリートは固まって一定以上の強度が出るまでの間、型枠を外さず、養生しなくてはなりません。その養生期間が一般的に1か月といわれています。
何故こんなに早く出来上がるのかが分からないので建築士さんに聞きましたが建築士さんも首を捻るだけです。
本物件を買おうと思う方は、極端に短い建築工期が何故可能なのかをしっかり確認してくださいね。もし本来必要とされる養生期間をハショッテるならば、・・・怖い気がします。

しかも本件は3月竣工で3月引き渡しです。
これについては舞台裏はよ~くわかります。
3月末が年度の締めなので何としても3月31日までに引き渡さなければ今年度として売り上げ計上できないのです。
おそらく本物件は、3月初旬に何とか内覧会出来るように恰好を付け、確認会は行われず、3月末ギリギリで引き渡しとなり、引き渡し時には階段とか廊下などの共用部分はまだ完全に出来上がっておらず、引き渡し後も工事が行われている事でしょう。
引き渡し会、引っ越し時の混雑ぶりが目に浮かびます。
新日鉄関連の分譲マンションは、3月竣工3月引き渡しがあまりに多い。
本年度に売上計上するために3月竣工をFIXし、少々短くてもそれに合わせて建築工期が設定されているとしか思えません。

設計会社はGアソシエイツなのでN建築士さんです。ゼネコンさんは若築建設です。
建物に不具合が多いと、売主の都合で建築工期が短くても世間ではゼネコンさんの施工不良や能力不足、あるいは手抜き工事として風評されます。
お気の毒としか言いようがありませんが、それでも短い建築工期で受注したのだから仕方ありません。

本件を購入しようと思っている方は、短い工期の合理的理由をちゃんと確認しましょう。
確認の相手方は、販売センターの営業マンではなく、現場監督や新日鉄講和不動産の担当者ですよ。