マンション管理士の独り言・・・804

「近隣説明会」

北九州市で中高層建築物を建築しようとする際は、「北九州市中高層建築物等の建築に関する指導要綱」に従って対象となる住戸へ事前説明を行わなければなりません。
対象となる住戸とは、予定建築物の高さの水平距離の1倍~1,5倍の範囲内に入る住戸です。つまりは予定建築物の高さが40mならば予定建築物から40m~60mの範囲にある住戸に事前説明を行わなけばならない、って事です。
40~60mの違いは、予定建築物が南側に建つのか、そうでないのかの違いです。

最近はこの近隣説明会に参加する機会が増えました。
建つことで障害を受ける方からのご依頼です。
日本の建築基準法の考え方は、建築基準法はじめ諸々の諸規定に反しない限り、その建築物は建築できます。
施主や事業主は、建築基準法などに合致しているかどうかを検査機関へ確認してもらえれば、その建築物を建築できます。建築確認申請という手続きです。
市や県の許認可行為とは異なります。
近隣に対する説明も基本的には同様の考え方に立脚していますので、近隣住民にこんな建物が建つんですよ、ってことを報告する作業です。
近隣住民の意見や同意は求められていません。

だからと言って近隣住民の意見を無視して、建築していいはずがありません。
指導要綱に従って取り敢えず説明を実施さえすればいい、と考えるのか、近隣の方へは工事中の騒音や振動、更には工事後も高い建物が建っていろいろとご迷惑おかけするだろうから出来るだけ誠意を持って取り組もうとするのか、この辺りに施主や事業主、建設会社の品位がかかわってきます。

先日参加した近隣説明会は最悪でした。
土曜、祝日は工事をしますよ。音の出る工事だってやっちゃいます。
工事時間も8時~19時まで、です。
“土曜や祝日は工事止めてよ。皆がせっかくの休日という事で家でくつろいでるじゃん。
工期の関係でどうしても工事しなきゃならないなら、せめて音の出ない工事に限ってよ“
といっても、聞く耳持たず、このスケジュールを変更することは出来ませんの一点張りです。

しかも、近隣説明会を実施する前にすでに確認申請を提出済でした。
通常では、建築地に「予定中高層建築物のお知らせ」を掲示し、その後近隣説明会を実施し、近隣の方からのご意見あればそれも添付し、確認申請提出という流れとなります。
“近隣説明会を実施してないのに、確認申請だしちゃいけないじゃん”という当然の質問にも、“近隣説明会を実施するという案内書を配った折に玄関先で少し説明しました。説明する義務はそこで果たしています。説明会開催までの義務はありません。”です。

こんな時頼りになるのが建築局指導課、といいたいところですが、指導という名称には程遠く、ヤンワリと事業主などに“近隣の方からこんなご要望が出ていますよ。もう少し誠意を持って対応してください”と言ってくれるのが精いっぱいの様です。

やはり日本は土建業国家です。近隣住民とともにつぶやき主も悲哀を感じます。