マンション管理士の独り言・・・811

「錆びたステンレス」

マンション雨水竪樋を設置する際には、掴み金物が用いられます。
以前はこの掴み金物が鉄製だったので、適宜キチンとした塗装メンテナンスを行っていないと、錆びついてどうしようもなくなっていました。
最近のマンションでは、鉄製の掴み金物は見られず、変わってステンレス製のものが使用されるようになりました。
ステンレスとは文字通り、ステン(=鉄)、レス(=使っていない)なので“錆びない金属”というのが通り相場です。
錆びないといっても、もらい錆などもありますので、全く錆びないということでもなく、極めて錆びにくいと言った方が正解かも知れません。

このステンレスにも大きく4つの種類があるそうで、磁石にくっつくステンレスもあります。
鉄にクロム10,5%以上混ぜたフェライト系ステンレス(JIS400番台)は磁石にくっつきます。
鉄にクロム18%程度とニッケル8%程度を混ぜたオーステナイト系ステンレス(JIS300番台)は磁石にくっきません。またこのステンレスは18-8ステンレスとも呼ばれ、スプーンなどに良く使われています。

要するに鉄の含有率が高くなれば磁石にくっつくのです。
以前は、磁石にくっつくのは安価なステンレス、くっつかないのは高価なステンレスなんて言われていましたが、ステンレス業界によればそうでもなくて、磁力を通過させ(磁石にくっつかない)ステンレスと、通過させない(磁石にくっつく)ステンレスとで用途が異なるらしく一概にくっつくから安価、くっつかないから高価とは言い切れないということです。
しかし、金属買取業者に言わせれば、磁石にくっつくステンレスは鉄と同様の価値しかなく、くっつかないステンレスとで、買取価格は天と地ほどの差がつくという事です。

買取価格が高い安いというのが主題ではなくて、マンションの雨水竪樋に使ってほしいのは、錆びないステンレスの方です。
見かけはステンレスでも、磁石がくっつき錆びているステンレス製の掴み金物が稀にあります。
掴み金物は、直接風雨にさらされ、空気に触れる箇所に設置されるので必然的に錆びやすくなります。
だから錆びないようにステンレス製のものを使っているのに錆びちゃったら意味ないじゃん、です。
大規模修繕工事の時に、余計なお金がかかってしまいます。

分譲マンションの雨水竪樋の掴み金物に使用してほしいのは、ステンレス製のものではなくて、鉄の含有率が低く磁石にくっつかない、錆びにくいステンレスです。
材料単価までは確認していませんが、錆びやすいステンレスはその分仕入れ値が安価かな、って思っています。