マンション管理士の独り言・・・812

「大規模修繕工事時にお金がかかるマンション・・・その1」

マンションは新築されたその瞬間から劣化が始まります。
このため大体、10年から15年のスパンで大規模修繕工事を実施します。
建物全体に足場を組みネットを張り、屋上やバルコニー防水補修、サッシュ廻りのシーリング補修、外壁のタイルや塗装の洗浄や補修、鉄部塗装などを行います。
25年~30年目で行う2回目の大規模修繕工事時には、これらに加えて給水管の更生・もしくは更新工事、エレベーターのリニューアル工事なども発生します。
また鉄部塗装は5年くらいのスパンで定期的に実施しないと、錆びついてしまい肉厚がほとんど残らない状態にまでなってしまいます。
こうなると手遅れで、補修で効かず、取り換え工事になってしまい、かえってお金がかかってしまいます。

劣化診断などで頻繁に屋上などに登っていますが、大規模修繕工事時にお金がかかるだろうな、って感じるマンションがあります。
例えば、雁行タイプの配列となっているものや、出窓など張出し部の沢山あるマンションです。足場をどのように組むのかな?余計なお金がかかるだろうなって感じます。
以前にもつぶやきましたが、建物に隣接して植栽が配置されていて、大きな木が生い茂っているマンションなんて目にすると足場をどのように建てるのかな?って思う事もあります。
ゴンドラ作業しか仕方ないか、って思いますが、ゴンドラでの作業は基本的に風がない時がベターです。
結構揺れますので、強風時には2人で乗り込んでそのうちの一人はゴンドラが揺れないようにバランスを取る役目に終始しなければならず作業効率があまりよくありません。
そもそもゴンドラ作業では、工事がキチンと行えたかどうかの確認作業が理事会では行えません。
大規模修繕工事はやはり足場を組んでの作業が王道です。

先日屋上一面にソーラーパネルを設置しているマンションがありました。
防水シートの上に保護コンクリートを打設し、架台を組んで屋上いっぱいにソーラーパネルを設置しています。
地球環境にも優しい自然エネルギーの太陽光発電です。共用部分の照明の電力はこれでまかなえそうです。

いいことだらけのようですが、大規模修繕工事時にはお金がかかります。
屋上防水の保証は10年で切れますから大規模修繕工事時には補修を行わなくてはなりません。その際、架台に乗せられたソーラーパネルはどのようにするのでしょう?
考えられる補修作業は、ソーラーパネルと架台を一旦取り外す。
これが一番いい方法だと思いますが、脱着の費用はかなりの金額になることが予想されます。また14階建てマンションの屋上にあり取り外されたソーラーパネルや架台を地上に下ろす際のクレーン車も必要になり、当然その保管場所の確保も必要になります。

では、ソーラーパネルと架台をそのままにして防水作業を行えばいいじゃん、となりそうですが、架台の高さは約80㎝です。この下に姿勢を低くしてもぐりこんで作業することになり、作業員さんは大変です。
作業効率もそうですが、そんな低い態勢での作業をやってくれる業者さんはあるのでしょうか?やってくれるとしても作業費用はかなりの額になることが予想されます。

ケチ付けてばっかりで、どっかの大統領のようですが、本当に言いたいことはまた次回。