マンション管理士の独り言・・・814

「中古マンションクライシス・・・①」

のっけから衝撃的なお題目ですが、あと10年もすれば北九州市内の中古マンションは売れなくなっちゃいます。
売れなくなる原因で一番大きなものは、修繕積立金の負担があまりに大きくなりすぎることです。

直近の国交省のマンション総合調査(平成25年年度分)では、修繕積立金の全国平均額は10,783円(駐車場料金は別途)なのに、市内新築マンションでは相変わらず3,000円~4,000円と設定しています。
これは、「毎月のローン支払い額と管理費+修繕積立金、さらに駐車場料金を加えても○○○円です。あなたはまだ賃貸に住み続けますか?家賃を支払い続けますか?」というセールストークを使いたい売主さんの思惑から導き出されたものです。
分譲当初は少しでも修繕積立金を低く設定しようという「販売第一主義」の思惑以外の何物でもありません。

4,000円程度でまかなえるわけありませんので、将来的には必ず値上げされます。
値上げ額の目安は新築後5年で2倍、10年後に3倍といったところです。
25年後には6,4倍って設定されている長期修繕計画もあります。
積立金が10年後には当初の3倍ってしているマンションでも、長期修繕計画には1回目の大規模修繕工事に赤字にならないように設定するとあり、25年~30年後に実施される2回目の大規模修繕工事時にはこれでは不足します。
もっと値上げしなくちゃなりません。

新築分譲時に負担している修繕積立基金(修繕積立金月額の48か月分~60か月分)があるので、第1回目の大規模修繕工事は何とか3倍程度の値上げでまかなえているのであって、第2回目の大規模修繕工事時には修繕積立基金なんて食いつぶしているので、今度はゼロから積み立てていかなければならないこととなります。
分譲当初の積立金設定額の3倍程度じゃ、完全に不足することが明らかです。

それでも分譲当初に、長期修繕計画を購入者へ渡し、そこに積立金の値上げがキチンと記載されていればまだましな方です。積立金の値上げについては総会決議事項なんて記載して、“値上げするかどうかは管理組合さんで話し合って決めて下さい”って説明でお茶を濁すところもありますし、それどころか長期修繕計画そのものを渡さないってところもあり、驚いてしまいます。

積立金の値上げは、総会の決議事項です。
“積立金は5年ごとに値上げされる長期修繕計画になっていますよ”あるいは“積立金は総会で値上げされますよ”ってしっかり購入者へ説明してもらっていないと、総会時 “値上げされるなんて聞いてない。ローンや管理費、積立金など全部含めて○○○円だというからこのマンションを買ったんだ”というご意見が出て、大紛糾しちゃいます。

修繕積立金の値上げは、不動産価格の下落を招き、さらには不動産流通の妨げになり、北九州市の経済の発展を阻害する大きな問題を抱えている事は次回つぶやきます。