マンション管理士の独り言・・・817

「もしも・・・、安部首相が組合員だったら」

20××年。衆参両院で過半数を維持している自民党の圧倒的な数の力で半ば強行採決の様にして、憲法改正がなされました。
安部首相からすれば、おじいちゃん~お父さんから3代引き継いだ悲願が達成できた瞬間でした。
民進党は、蓮舫党首のレン=連絡、ホウ=報告はあるものの、ソウ=相談がなく、独善的に進める党運営でまとまりを欠き、野党第1党としての責任を果たせないまま、ズルズルと憲法改正を果たさせる結果となってしまいました。

悲願を達成した安部首相は、老後の生活に備えて購入していた分譲マンションの管理規約について考えてみました。
「自分が住んでいるマンションの管理規約も現実のマンションライフとそぐわない点が多々見られるようになった。これも改正しなきゃ!憲法改正を成し遂げた私だぴょん。管理規約ごとき、改正出来ない事はない」と考えたのです。

考えてみれば憲法と管理規約は、驚くほどよく似ています。
安倍首相の頭の中は、「憲法は日本国民が自主的に作ったものでなく、戦後駐留していたGHQからの半ば押し付けられた憲法だ。管理規約だって組合員が皆で集まって決めたものでなく、売主が原始管理規約として押し付けたものだ。自主的に決めたものでなく、押し付けられたものは憲法だって、管理規約だって変えなきゃ、気分が悪い。安部に出来ない事はない!」ってな感じです。

そこで理事会に参加し管理規約改正を声高に訴えました。
管理規約改正案を作成し、アンケートを取り、説明会を実施して準備万端で総会に臨みました。
ふと、管理規約の改正要件について確認していないことに気が付いて、管理規約を引っ張り出しました。

憲法の改正の手続きは、衆議院で100名以上、参議院で50名以上の賛成で発議し、その後衆議院、参議院でそれぞれ3分の2以上の多数による賛成を得て、国民投票にかけられるというものです。
また、自身が憲法改正時には「両院で3分の1という少数の反対者で、3分の2という多くの人が賛成しているものを変更できないというのはオカシイ」と言っていたことも思い出しました。
国の法律体系の根幹である憲法でさえ、両院それぞれの3分の2以上の賛成でOKだから、それに比べてマンションの管理規約改正はそんなにハードルは高くないだろうと思っていました。

ところが、管理規約の改正は、議決権総数の4分の3というとても高いハードルです。
この4分の3という数字は、総会に参加した人の4分の3ではなくて、議決権総数の4分の3です。
100戸のマンションならば100議決権ですから、75以上の賛成が必要です。
憲法改正の場合は両院それぞれの3分の2とされますが、その3分の2は両院議員総数の3分の2ではなく、審議に参加した議員数の3分の2と考えられています。
更に4分の3という数字は、これを5分の4に上げることも、反対に3分の2に下げることのどちらも無効とされる強行規定です。
何が何でも4分の3です。

「何だよ。憲法改正より管理規約改正の方がハードルが高いじゃん」
憲法改正を成し遂げた安部首相は、自分の住むマンションの管理規約の改正はついに達成できませんでした。
一敗地にまみれた安部首相でした。
これを聞いた蓮舫さんが、大喜びしたとさ・・・。