マンション管理士の独り言・・・818

「役員順番性での注意事項」

ほとんど全てのマンション管理組合では、役員就任方法を順番性としています。
その理由としては、立候補者がいないのでという、この1点に尽きます。
新築マンションの場合、以前は売主さんから“この人が良さそう”という情報をいただき、管理会社フロントマンが夜討ち朝駈けで説得し、役員さんに就任してもらっていましたが、最近では売主さんも情報をくれることなく、半ば当然のように管理組合設立総会で順番性が決まってしまいます。

順番制では、取り敢えず1度は役員に就任することとなり、理事会の役割や大変さを身を持って感じてもらえるという良い一面もあります。
しかし全くやる気のない役員さんや任期中に一度も理事会に参加しない役員さんもいたりして、弊害もあるようです。
現実としては、役員就任方法を順番性にしていることころがほとんどですから、それを前提により良い方策を講じなければなりません。

役員さんは、同じ階付近の方ばかりにならないように注意しなければなりません。
2階の方ばかりが役員さんならば、管理費の見直しをする場合、特にエレベーターメンテナンスについての見直しが提案されます。
「メーカー系のフルメンテナンス仕様になっている。POGや独立系に変更したら、月額2万円くらいの経費削減になる」という具合です。
そしてスンナリと理事会で可決され、総会で議案上程となります。
2階の方はほとんどエレベーターを利用しないので、エレベーター保守メンテナンスにあまり興味がありません。
それどころか、お金をかけることに対し、消極的な考えの方もいます。

これに対し毎日エレベーターを使う上階の方は、エレベーター保守メンテナンスには敏感です。
「独立系メンテ会社に変更したら、メーカーからの部品供給が遅れ何日もエレベーターが動かなくなるって聞いたことがある。」「そもそも独立系のメンテ会社にメンテさせて安全なの?」って反論が上がります。
このため役員就任の順番を、一定の階層に固まらないように、低層階、中層階、高層階からまんべんなく選ぶ工夫が必要になります。

ペット飼育者ばかりが役員になってしまうと、ペット飼育条件を緩やかにしたりと理事会を恣意的に運営することがないとは限りません。
また、ペット飼育禁止のマンションでペットを闇で飼っている方が理事長になったりすると、いろんな苦情やトラブルが発生しかねませんので、他の役員予定者に事情を話し、理事長を引き受けてもらわなきゃ、です。
つぶやき主は、「理事長はペット飼育委員会会長が兼ねることができない」なんてすることもあります。
この他、「滞納者には会計担当理事にはなれない」なんて内規で定めている管理組合は少なくありません。

しかし地位は人を作る、っていうのはよく言ったものです。
“この理事長で大丈夫かな、頼りないな”と当初は感じていた理事長でも、年度半ばくらいからはリーダーシップを取り、見違えるように責任感溢れる理事長になるものです。

これから通常総会ラッシュで、新役員さんが産声を上げます。
「そんなに嫌がらないで下さいよ。前向きに業務に励んでいただければ、結構やりがいありますよ」です。