マンション管理士の独り言・・・820

「管理費など滞納者の言い分」

懇意にしている理事長さんから、「管理費などを滞納している組合員がいて困っている。何か回収する良い方法はないだろうか?」とご相談を受けました。
まずは滞納している理由を聞かなくちゃです。とアドバイスしました。
滞納者からは「生活に困窮しているわけでない。管理組合に対し日照障害になるから自分宅の前の植栽の剪定を行ってくれと何度言ってもやってくれない。仕方ないから自分でやった。それに要した費用と滞納分とでチャラにしよう」との回答があったとのことです。
「チャラにしていいの?」ってご質問です。

植栽の剪定と滞納管理費分とを相殺してチャラに出来るのかって言えば、それは出来ません。これと同じような事例が判例であります。
判例では、「マンションの維持管理は、組合員全員が管理費などを拠出することを前提として管理規約に基づき計画的、継続的に行われているものである。
組合員の一人でも管理費などを支払わないと建物の維持管理に支障を生じさせることにつながるし、組合員全員が不利益を被ることになる。
更には、管理組合全体の運営も困難になってくる。このような管理費拠出の義務の必要性に照らすと、この管理費と組合員が管理組合に有する債権とを相殺することは許されない。」
されました。
簡単に言えば、管理費と管理組合に対して有している債権(貸し借りの貸し)との相殺は認められないので、滞納分は支払いなさい。剪定費用は改めて管理組合に請求したらいいじゃん、です。

滞納している人の理由はさまざまです。
多くは生活困窮ですが、それ以外でも管理組合の方針が気に入らない、管理会社の動きが悪い、掃除が行き届いてない、などの理由もあるので、まずは滞納者さんと直接話してみなければなりません。
頭から“ケシカラン、直ちに支払わせよう”ではなく、何が原因なのかを聞くことが必要です。

滞納管理費の回収のご依頼を受けてから、3年間顧問としてお世話している管理組合さんで5月に総会があります。
上程すべき議案を検討していますが、3年前に合計100万円を超えていた滞納額も今では40万円ほどに減少しています。約束した支払計画とおりにキチンとお支払いいただいています。サルベージつぶやき主です。

2月5日、8日と小倉南区の町内会長さん合計120人を集めて「マンション居住者を町内会へ入ってもらお~う!!」セミナーで講師を務めました。
70代のオジサンばかりの奇妙な熱気あふれる会場で1時間ばかり話してきました。
アンケートでは好評いただいたようです。

25日は日本ハウズイング主催の理事長セミナーで「大規模修繕工事」をテーマに講師を務めます。
場所は、小倉の商工貿易会館です。
髪の毛がまだあるうちのつぶやき主に会いに来ませんか?