マンション管理士の独り言・・・822

「名称独占」

マンション管理士資格は「名称独占」業務です。
マンション管理士でないものがマンション管理士と名乗ってはいけないというものです。別にマンション管理士って名乗ったって、一般の人には全く知られていないし、それほどステータスのある資格じゃありません。
わざわざそれ程認知されていないマンション管理士っていう名称を名乗る人はいません。

「名称独占」に対して「業務独占」があります。
これは例えば、宅地建物取引主任士のように不動産売買に関して重要事項を説明するには、この資格保有者が免許書を提示して行わなければなりません。
マンションに関していえば、管理会社と管理委託契約を締結する際の重要事項説明は管理業務主任者でなければ行えないとなっています。
例えば弁護士の様に、法律のプロであっても、宅建主任士の資格を持っていなければ、重要事項説明は行えません。

マンションの管理に関してはマンション管理士でない人が顧問となろうが、雇われ理事長になろうが違法ではありません。
以前管理組合理事長をやっていた人や、マンションの管理業務に長けている人が顧問となっても、相手先の管理組合がそれでいいのならば、法律的に問題のある行為ではありません。
これが例えば医者だったりすると、どんなに経験豊富で知識・技量が抜群であっても、医師免許を持っていない人は、いわゆるニセ医者で医療行為に係ることが出来ません。

よくマンション管理士は、試験に合格しただけならば使い物にならない。実務経験がなければダメだと言われます。
確かにその通りで、マンション管理士ほど実務経験が必要な業務もないと考えます。
しかしだからと言って、マンション管理士でない人が実務経験が豊富ということを売り物に管理組合さんのお世話をするのもどうかな?と思います。
国家資格というのは、その資格に合格しようとして努力して勉強してやっとの思いで獲得するものです。
合格することは勿論素晴らしいことですが、なによりそこに至るまでの努力が尊いのです。
その努力をすることなしに、安易にマンション管理業務に長けているからとマンションの専門家のように振る舞うのは如何かなって、感じます。

マンション管理士会では、マンション管理士という資格を「名称独占」→「業務独占」へとするよう各所へ働きかけをしているようです。
マンション管理士からすると、そうなればベターですが、いろんな業界・団体の思惑もあってまず、無理でしょう。
そんなことより、経験を積むことに汗かかなきゃ、です。

先日、抱えていたご相談案件が1年かけてやっと解決しました。売主や施工会社との交渉や理事会や専門委員会での合意形成を図り、やっと解決しました。
そのことについて詳しい人や素人同然の人、ずっと以前から関わってきた人や、最近になって関わりだした人など、さまざまな人がいる中での合意形成です。
合意形成というのは、とても難しい作業です。