マンション管理士の独り言・・・827

「責任の所在」

分譲マンションを建築し、販売、さらには入居後の管理に至るまでにはそれぞれ役割を担う、会社が存在します。
まずは、そのマンションの売主(=事業主)、そして設計に携わる1級建築士事務所、実際の工事を請け負う建設会社、販売を担当する販売代理会社、最後には入居後の管理を行う管理会社です。

これらの中で購入者と直接関係があるのは、売主と管理会社だけです。
マンション売主は文字通りマンション売買の相手方という法律関係にありますし、管理会社は管理委託契約に基づき、共用部分の管理を依頼する委託先という法律関係です。
これに対し設計会社や建設会社は、購入者とは法律的な当事者とはなりません。
これらの会社と直接的な法律関係があるのは、売主となります。
設計会社や建設会社はそれぞれ、売主との間で設計監理契約や請負契約を締結することとなります。
販売会社も同様です。売主との間で販売代理契約を締結し業務を行いますが、購入者との間では直接的な法律関係は存在しません。

例えば、小倉駅再開発プロジェクトでは、積水ハウスさんがマンションを分譲しますが、積水ハウスさんはマンションの売主(=事業主)であって、建設会社ではありません。
建設するのは竹中工務店です。販売センター長は、つぶやき主と懇意にしているT氏だと聞いています。

1つのマンションプロジェクトにも複数の立場で多くの企業が存在しています。
ここで話がややこしくなるのが、マンションの施工に不具合があった時です。
責任の所在がどこにあるのか、わからなくなります。というより、どこも責任を取りたがらず、よそに責任を押し付けちゃいます。
購入者と直接的に法律関係のあるのは売主ですから、売主にクレームを持ち込むと、「施工会社の施工ミスです」
施工会社は、「当社は設計図書とおりに施工しています。当社の責任ではありません」。
設計事務所は、「売主の指示でそのようにしました。」???

購入者からすれば、売主であろうが施工会社であろうが、設計事務所であろうがそんな事はどうでもいいことです。
全部まとめて売主サイドです。
更には、「材料メーカーの施工要領に従って施工しています」「この状態で検査にも通っています。瑕疵ではありません」なんて言う事もあります。

材料メーカーや担当役所に問い合わせることもやらなきゃ、です。

これに販売代理が加わったり、複数の売主共同企業体だったりするともう何が何だか、誰も責任取らなくなっちゃいます。

これらを紐解くのもつぶやき主の仕事になってきました。

明らかな工事の不具合であっても、「補修工事をやらない」とヘッチャラでいう担当者も残念ながら存在します。
やらない、というのをやらせるのは至難の業です。