マンション管理士の独り言・・・829

「もう今後は買わない、って出来ない」

外食にいって、値段ほど美味くなかったり、サービスが悪かったらもうその店には二度と行かない。他の店に行きます。
電化製品買ったけど、故障ばっかりで、しかも簡単に壊れちゃった、そんな時は他のメーカーのものに買い替えます。こんなメーカーの物は今後一切買いません。
外食屋はいたるところにありますし、電化製品メーカーだって沢山あります。
家の次にお金がかかるとされる車だって、いろんなメーカーがあり、今のメーカーの車が気に入らなければ次は他のメーカーのを買えばいいだけです。

ところがマンションはそうはいきません。一度購入してしまえばそう簡単に買い替えはできません。家電製品の様に一生のうちに何度も買い替えるというものではありません。
多くの場合生涯でたった一度の買い物です。
売買契約締結に際しても重要事項説明を受けなきゃだし、ローンを組むための銀行手続も必要です。不動産だから登記手続きだってしなきゃ、です。
引越しも複数回必要です。マンション購入には大変なエネルギー、手続きが必要です。
ましてや売却した金額でローンが完済できなきゃ、追い銭しなきゃだし、資金に余裕がなければ買い替えも成り立ちません。

それだけにマンションを購入しようとする時には、十分に検討しなきゃいけないのに、多くの方が不十分です。
新築マンションのパンフレット見ただけで、“こんなマンション買う人いるわけないじゃん”と思う物件もあるのですが、売れていくから不思議です。
営業マンが優秀なんでしょうか?パンフレットやモデルルームがインパクトあるのでしょうか?でも簡単に言えば、購入者が見た目に惑わされ過ぎです。
「この程度の選挙民だからこの程度の政治しか出来ない」って言われますが、マンションについても同じです。
「マンション購入者の知識はこの程度だから、この程度のマンションでも売れる」って事です。

特に北九州のマンションは酷いです。未販売住戸の管理費などを売主が負担しない、分譲駐車場として売る、など相変わらずデタラメな販売方法をやっています。
このデタラメな販売方法が通用するのは、残念ながら全国で唯一北九州のみです。
他のエリアならこんな不埒な分譲方法を採る売主のマンションなんか誰にも見向きもされません。その結果、市場から退場せざるを得なくなります。いい意味で市場原理が働きます。
北九州の購入者も、もっと勉強してこんな売主のマンションなんか買わないようになれば、マンション市場が浄化していくのに、と思っています。
簡単に買い替えできないから成り立っているのが、北九州の売主さんです。
自分の子供たちや知人に、「今住んでいるマンションいいよ。このマンションの売主さんお勧めだよ」っていえる売主さんが市内にどれだけあるでしょうか。
買い替えが簡単に何度でも出来るようになれば、北九州の売主さんも襟を糺すのでしょうが。

“こんなマンション買ったら、将来住民間でトラブルになるのに、何で買うんだろう”です。
でも、“よく考えずにそんなマンション買うのが悪い”って事になるんでしょう。
ちょっと可哀そうな気もしますが、自己責任ってやつです。