マンション管理士の独り言・・・833

「2階の女が気になる」

“階”は“貝”と置き換えます。“気”は“木”と置き換えます。
2つの貝があって、女があって、木があって。
全部くっ付ければ、今が盛りの「櫻」となります。桜の時期です。
この時期日本列島全部がピンク色に染まり、華やいだ雰囲気が漂います。

しかしマンションライフではちょっと厄介者です。
花ビラが散りだすと、その下においている駐車車両のアチコチにくっついて中々取れません。その後、樹液が出てきて、更に毛虫が付きます。
樹液も車両にくっついてクレームに発展します。
新築時の駐車区画の決め方として、早めに住戸を購入した人から順に駐車区画を選べるって方式をとることがあります。
桜についての害なんて知らない人が、雰囲気だけで桜の木のそばの駐車区画を選ぶことがありますが、後日必ずクレームに発展します。
“桜の木の下はお止めになった方がいいですよ”って言ったのに、です。
毛虫は干している洗濯物にくっついていて大変なクレームになったことがあります。
どうなったかを考えるだけで、“気持ちわり~”です。

また、桜の木の根っこは凄まじいほどの生命力です。
歩道のインターロッキングどころか車道のアスファルトさえ持ち上げます。
排水桝に入り込んで排水のつまりの原因になります。
排水桝の中の生活排水や汚水は、桜の木の根っこにとって栄養素たっぷりです。
アチコチの排水桝に入り込んでいきます。

やがて“桜の木を伐採してほしい”まで発展することがあります。
多くの管理組合で総会は4月5月に開催されますから、桜の木の害についてのイメージがまだ鮮明なので、理事会へ桜の木の伐採を議案化してほしいという意見が出されます。
つぶやき主はそれぞれ異なる管理組合で2度「桜の木の伐採について」という議案を上程したことがありますが、喜んでいいのか哀しんでいいのか、2回とも大差で否決されました。

議案化するためには、最低でも理事会を2回開催しなければなりませんし、伐採のための費用を算出しなければなりません。
費用算出のためには植栽管理の方と現地で打ち合わせし、見積もりを出してもらわなきゃ、です。
伐採後の跡地利用の計画だって予め作成しておくことも必要です。
手間暇、エネルギーかけて議案を作成し、その挙句に大差で否決、というのは少々辛いものがあります。

桜の木の害にあってない人は、桜の木は「愛でる」「キレイ」「春らしい」などのいいイメージしかないのです。切るなんてトンデモナイ、です。
マンション総会で「桜の木を切る」という議案を承認させるのは、とても高いハードルです。
桜の木の害で悩んでいる管理組合さんは多いと思いますが、なかなか議案承認は難しいというのが感想です。

日本全国の人が純粋に桜を愛でている時に浮かない顔をしている人を見かけたら、おそらくその人はマンションの管理に関する仕事をやっている人です。