マンション管理士の独り言・・・840

「旦歌市場」

北九州の台所と呼ばれる旦歌市場の再整備を目指して店の関係者らの委員会が7月26日に設立されたようです。
この旦歌市場は意外なことに「建物の区分所有に関する法律」(通称:区分所有法)で想定しているど真ん中のマンションなのです。
マンションというと多くの方が地上10階とか15階などの上に伸びた建物を想像しますが、区分所有法では上に伸びた建物よりも横に長い、時代劇に出てくるような長屋形式を想定していました。
横に長い長屋形式であっても、敷地がそこに住む人に共有され、屋根とか外壁、基礎なんかが皆の共有物となっているのですから、立派なマンションです。

したがって、旦歌市場の維持管理やメンテナンス、生活上のルール決め何ていうのは、もし管理規約や総会があればそこで決まっていきます。
詳しくは分かりませんが、おそらく管理規約みたいなものは無いでしょうし総会が開催されたってことも聞いたことがありません。
管理規約がなく総会も開催されないとなれば、区分所有法に従って維持管理が実施されるという事になります。
また、今回の様に建て替えとなるとこれも区分所有法によって建て替え手続きを進めるという事になります。
5分の4以上の賛成が必要です。

現在ではマンションの居室(専有部分)を購入すると、共用部分の共有持ち分も、敷地の共有持ち分も同時に取得するという一体化の原則(区分所有法1983年改正)というのがありますが、それ以前は建物と土地の持ち分とを別々に分けて購入することが出来ていました。
旦歌市場には、土地建物の所有者、建物だけの所有者、土地だけの所有者、建物の賃借人、さらには銀行などの抵当権者など法律的な利害関係者が沢山いることが容易に想像されます。
これらの関係者の合意形成をするというのは考えただけで気の遠くなる作業です。

旦歌市場に近接してなかやしきさんのアーティックス馬借ヘリテイジというタワーマンションが昨年竣工しました。
売れ行き好調物件で、竣工前完売でした。
つぶやき主はこのマンションが建っている場所が旦歌市場の整備計画には欠かせない場所だと思っていました。
ここに、一旦旦歌市場を移して、旦歌市場をモヌケの殻にして、その後建て替え、新しくなった旦歌市場へ戻ってくる、というストーリーを勝手に描いていました。
しかし、市の担当者さんはそこまで頭が回らなかったようです。
残念なことをしました。
あれだけの店舗が入っている旦歌市場を営業を続けながら再整備何て出来るわけありません。

そして何より大変なのは、合意形成です。ぬかるみを這うような地道な作業となります。
担当者が数年で交代する役所仕事では無理ですし、合意形成をやったことの無い人ではすぐに音を上げてしまいます。

これが出来るのは、合意形成の難しさや手順を理解していて、管理組合総会を何度も経験したことのある区分所有法の専門家であるマンション管理士しかいません。
ペーパーでなく経験豊富なマンション管理士です
しかも北九州愛のあるマンション管理士でなきゃ、です。

つぶやき主しか見当たりません。

次回は前回のお約束通り「管理規約」についてつぶやきます。