マンション管理士の独り言・・・866

「絶滅危惧種」

前回の独り言の続きのような始まり方ですが、先日のマンション管理士試験の受験生の推移をみて驚きました。受験生がどんどん減っています。
この資格が出来た平成13年には受験生は約11万人でした。
その後、平成14年には約6万人と毎年減少し、平成28年には何と16,000人にまで落ち込んでしまいました。
合格率は7%平均ですから、受験生の減少に伴って、合格者数も平成13年の7,200人から平成28年には1,100人にまで減ってしまいました。

減った主な理由は、前回もつぶやきましたが、試験に合格しただけでは実際の管理組合の現場では全くと言っていいほど役に立たず、実務経験がないと通用しないということです。
また、顧問契約に至るまでのハードルが高いことも原因の一つだと感じています。
マンション管理士との顧問契約は個人との間で結ぶわけでなく、管理組合と締結するわけですから、総会の承認が必要となります。
そのためには、まずは理事会に“顧問として採用する価値があるよ”“議案化して総会に諮ろう”ってプロセスを経なければなりません。
つぶやき主の経験では議案化してもらうまでに約1年間はかかります。その間は無報酬で理事会に参加しなければなりません。

特にこの間に“流石にマンション管理士さんだけあって詳しい”“いろんなやり方や実例を知っていて提案してくれる”と理事の方に思っていただく事が必要です。
“大したことも知らないのに、お金を出してまで雇う必要があるか?”と思われちゃったら「マンション管理士を顧問採用」との議案化は、まず無理です。
ご年配の百戦錬磨の役員さんたちにマンション管理士の価値を分かってもらえるだけの知識と経験と、他のマンションでの実例を持ち合わせていなければ、あえなく撃沈です。

また、マンション管理士は名称独占資格です。
不動産売買の際の重要事項説明をするのは宅地建物取引士でないといけないというような、業務独占資格ではありません。
“マンション管理士でないのに、マンション管理士と名乗ってはいけないよ”“マンション管理組合のお世話をするのはマンション管理士でなくてもマンションに詳しければ誰でもいいですよ”って程度の資格です。
一生懸命勉強して、何とか試験に合格して晴れてマンション管理士になったとしても、“マンション管理組合のお世話は、別にマンション管理士でなくても出来ますよ”ではあまりにやるせない・・・です。

“何もマンション管理士っていう名前を言いたいがために勉強してきたわけでもないのに”って感じです。

病気とかケガの治療にあたるのはお医者さんしかダメだって決まっています。
いくらお医者さんと同じくらいの知識と経験がありますよ、って言われたって大事な自分の体をそんなニセ医者に診てもらう人はいません。
マンション管理士って結構難しい試験に合格した人なのに、マンション管理士試験に受かってない人と同列なんて、って思いますが、愚痴を言っても始まりません。
マンション管理士試験に合格して、知識、経験、幅広い資料を提案できる横綱マンション管理士を目指さなきゃ、です。