マンション管理士の独り言・・・870

「個人情報保護法」

個人情報保護法では、5000件以下の個人情報を取り扱う事業者はこの法律の適用外でした。したがって、多くのマンション管理組合では同法の適用外となっていました。
しかし本年5月30日から施行された改正個人情報保護法では、この5000件基準が撤廃されちゃいました。
その結果、管理組合であっても個人情報保護法の適用となり、名簿の取り扱いをより厳格にしなければいけなくなりました。

具体的には、①個人情報を取得するときは利用目的の明示。②名簿は目的外には使用しない。③安全な管理。④本人からの求めに対しての適切な開示。⑤第3者への提供については本人の同意。⑥委託先に提供するときは適切な管理。などが求められます。
これらに反すると30万円以下の罰金があるので厄介です。

この名簿の管理責任者は、理事長となります。ますます理事長の成り手がなくなりそうです。
総会では、大勢の前で議長を務め、遠慮のない非難を浴び、もし建物不具合で第3者へ損害を生じさせた時の責任も負い、訴訟が起こればその当事者となり、その他いろんなことで管理者としての責任を負わされているのに加えて、名簿の取り扱いの責任者にもなっちゃいます。

改正個人情報保護法にマンション管理組合がどのように対応しなければいけないかというと、入居者名簿、ペット飼育届け、リフォーム工事申請書、駐車場使用契約書などの届け出書類について、それらを提出してもらうときに利用目的などを記載することが必要となります。それら名簿の安全な管理については言うまでもありません。
総会の議案書にも、利用目的などを記載した方がベターのようです。

今でも入居届の提出が芳しくないのに、今後はもっと低調になることが予想されます。管理組合では、どの住戸にどなたがお住まいなのか?お年寄りはいるのか?などは把握しておきたいところですが、名簿作成はますます遠くなりそうです。

11月に門司のマンションで消防訓練を実施しました。消防署職員さんに4名もご出席いただきました。その折、「火災時には全員が避難したかどうかの確認をとりたいが、そのような名簿がありますか?」という質問がありました。
残念ながら「ご提出いただいた分だけしかありません。とても全住戸には及びません」という回答になります。
もし火災が発生して全員が無事に避難できたのか?逃げ遅れた人はいないのか?の確認はとても重要な事です。

プライバシーの保護がより進んでいるので、喜ばしいこととして見るのか、世知辛いと見るのかは人によって異なることでしょうが、マンション管理組合からすると“やり難いったらありゃしない”です。