マンション管理士の独り言・・・876

「タイル剥離」

このタイトル見ただけで、ヒヤッとして、「つぶやき主さん勘弁してよ」って思ってる売主さんもあるでしょうが、生臭い話はしません。あくまで一般論としてつぶやきます。
昨年11月30日付けの毎日新聞に「マンション外壁 タイル剥離も」って記事が掲載されていました。
記事には1989年に北九州市内の10階建て団地からタイルが落下して3人が死傷した事件についても触れています。
事故が起きたのは三萩野のマンションで、今はダイエーが入っています。
この事故をきっかけに国交省ではマンションなどの「特殊建築物」について3年に一度の打診検査(手の届く範囲)、10年に1度の全面打診検査を義務付けました。
流石に発端となった北九州市ではこの打診検査は行われていますが、実施が義務付けられているのは九州では福岡市と北九州市だけのようです。
お隣の下関などでは実施されていません。
お世話している下関のマンションでこの打診検査を実施しようとして市へどこへ報告書を提出すれば良いかを予め聞いたことがあります。
その返答がイケてます。
「持ってきてもらっても困る。受け付けるセクションがない」でした。

外壁については2年の瑕疵担保期間であると記載されています。
何度もつぶやきましたが、住宅の品質確保に関する法律(品確法)では外壁は主要構造部なので10年の瑕疵期間に該当しますが、外壁そのものが10年であってその上に貼っているタイルについては2年なのです。
新築後2年以内にタイル剥離という瑕疵(不具合)を発見できる管理組合さんがあるでしょうか?
また、瑕疵期間2年のうちに外壁タイルの健全度を調べようって考える理事会さんがあるでしょうか?
「瑕疵期間2年のうちに第3者へ依頼してタイル健全度を調べましょう」って提案する管理会社さんがあるでしょうか?

記事の最後に、施工不良の目安として、タイル剥離が5年以内に発生。5年~10年で3%以上、10年~15年で5%以上、15年~20年で10%以上という数字が挙げられています。
建築関係を担当する裁判官と建築士とで出した目安という事ですが、一般的にはそんな感じかな、です。しかし踏み込みが足りない。
現場を知らない机上の空論・・・みたい。

3%とか5%とかの数字が挙げられていますが、その分母となるタイル総数が分からないというのが現実です。
タイル総数は長期修繕計画に記載されるべきものです。しかし、市内売主さんの発行する長期修繕計画にはタイル総数の記載のないものばかりです。
タイル総数が分かんなきゃ剥離数の目安なんて使い物になりません。
また、長期修繕計画自体を発行しない売主さんも結構あるというのが残念ながら現実です。
そんな状態で何%って言われても、“リンダ!困っちゃう。”

タイル総数を調べるのだってお金がかかります。総会での承認が必要です。
「タイル総数も書いていないような、いい加減な長期修繕計画を提出する売主に負担させろ」って声が必ず上がり、紛糾するのが目に見えています。
シャンシャン会議で終わりたい役員さんや管理会社さんは、議案化するのをためらっちゃいます。

タイルなんて落ちた日にゃ、管理組合は大変なんです。
つぶやき主も大変なんです。