マンション管理士の独り言・・・897

マンション管理士の独り言・・・897

「ペイオフ対策」

ペイオフというのは、預金を預けている金融機関が破綻したときに、一定額を保護する制度です。
具体的には、1金融機関に1000万円+利息が保護される制度です。
しかし逆に言えば、1000万円しか保護されないという事につながります。
分譲マンションでは、特別会計とされる修繕積立金会計では、1000万円超の資産を有するところなんてザラですから、何らかの形でペイオフ対策を行わなければなりません。

決済預金にする方法があります。
これだと、金利は全くつきませんが預金高が1000万円以上になっても全額保護されます。
また、預金ではなく、住宅金融支援機構の「すまい・る債」を購入し将来の大規模修繕工事に備えている管理組合さんも多いようです。
住宅金融支援機構は金融機関ではありませんので、もし仮に破綻した場合、「すまい・る債」は1000万円保護のペイオフの対象とはなりませんが、“住宅金融支援機構は昔の住宅金融公庫が名前を変えただけで、半ばお国の機関みたいなもの”という安心感もあり多くの管理組合さんで利用しています。

1000万円ずつ小分けしていろんな金融機関へ定期預金している管理組合さんも多いです。
多少とはいえ、金利もつきますし、1000万円ずつなのでペイオフの対象にもなります。ただし規模の大きいマンションでは、預入先が10以上に及び理事長さんが変わるたびに名義替えをしなければならない手間もかかってしまいます。

それでも名義替えの手続きは以前に比べて簡易になっています。以前は管理規約+総会議事録(理事長就任が総会で承認された証)+免許書など(本人証明)を持って理事長本人が金融機関窓口まで出向かなければなりませんでした。
今は、承認書見たいなものへの捺印と免許書だけで、管理会社フロントマンで手続きをすることが出来ます。
ただし郵貯は相変わらず、以前のような煩雑な手続きを要するようです。

広島本社の管理会社さんです。今度の総会でペイオフ対策として数個の金融機関で1000万円ずつ定期預金することを議案化しています。
預入先金融機関は、北九州では馴染みのない、広島○○信用金庫、とか広島○○信用組合とかです。
“馴染みのない、そんな聞いたこともない広島の金融機関にわざわざ預けなくてもいいじゃん”という質問があがりました。

ところが、この管理会社さんはこれら金融機関との間で優遇金利を適用するという提携を結んでいるらしく、金利がずば抜けて高いのです。0,2~0,3%です。
多くの金融機関では現在の店頭金利は0,01%と比較すると10倍超の金利です。
通帳名義は、管理組合理事長、印鑑は理事長保管とマンション管理適正化法も守られており、総会で議案化することが認められました。
このあたりも管理会社の実力かな、と感心しました。

お金持ちに優しい社会です。