マンション管理士の独り言・・・898

マンション管理士の独り言・・・898

「ガス警報器」

分譲マンションのキッチンには、ガス警報器が付いています。
ほとんどのマンションでは都市ガスなので警報器は天井近くに付けられています。
小倉北区のどっかのマンションみたいに都市ガス地域にかかわらず、プロパンガスを設置しているところもあります。
都市ガスだと、設備配管費用が戸当たり30万円くらいかかりますが、プロパンガスだと設備配管費用はプロパンガス屋さんが負担しますので、その分だけ建築費が安く済みます。
そのことはイコール、その分だけマンション販売価格を下げることが出来る、ことにつながります。
そのかわり入居者は、月々都市ガスより割高なプロパンガス使用料を支払うことになる、って仕組みです。

この「ガス警報器」の交換サイクルが5年と設定されています。
設定しているのは、ガス警報器工業会というガス会社が集まってできた団体です。
火災警報器などが10年とされているのと比べるとちょっと短い気がしますが、ガス漏れを感知するセンサー部の劣化を考慮してのものらしいです。
それ以上使用している住戸も沢山ありますが、確実にセンサーが作動する期間として5年を保証しているとのことです。
ガス警報器工業会HPでは、“5年ごとに必ず取り替えて下さい”といかにもガス会社の団体ならではの、言葉が謳っています。

分譲マンションでは、“5年になったから取り替えてね”ってお願いが管理会社さんにあります。“管理会社さんでなく各戸にすりゃ、いいじゃん”ですが、管理会社さんに連絡があります。
この扱いがとても難しいのです。
もしもの事があってはいけないので、管理会社さんや理事会では“法律で決められているわけではないので、取り替えなくていいよ”とは言えません。
だから、と言って管理組合で“全部まとめて取り替えましょう。費用は管理費から支出します。”には中々踏み切れません。

多数の方がお住いのマンションでは火災警報器の設置が法律で義務付けられています。
火災警報器は最近のマンションでは、リビングに設置している住宅情報番と連動しています。
その住戸で火災が発生した時は、警備会社やそのフロアーの住戸へ異常を知らせる仕組みになっているわけです。
法律で設置が義務付けられている火災警報器でさえ、北九州のマンションの約半数は専有部分としているのです。(残り半数は、共用部分としている)
ガス警報器の場合は、住宅情報番に連動しているものや、していないものなどあり、多くが専有部分とされています。
“専有部分のものを管理費で負担していいのか?”って議論になっちゃいます。
反対に、“規約にも謳っていないのに、専有部分の設備の取換えを総会で義務付けたりできるのか?”って意見も出されます。

更には、組合員の中にはガス会社関連にお勤めで、“もう既に取り替えちゃったよ”って方もいて、その扱いはどうするのか?なんて事にも及びます。

結局は、“ガス警報器の保証期限5年が過ぎているので、管理組合としては取換えをお勧めします。各自の責任と負担で取換えをお願いします”ってしてる管理組合さんが多いとなってしまいます。

いっそ、法律で義務付けてくれたらいいのに、なんて思います。この類の話が多くて困ってしまいます。