マンション管理士の独り言・・・907

マンション管理士の独り言・・・907

「第3者管理方式」

マンションを購入すれば法律上当然に管理組合員となります。
管理組合員は総会で理事長を選任します。
この理事長は、区分所有法の管理者となって管理組合活動を実施するとなります。
理事長就任の要件として、多くの管理組合では規約で「現に居住する区分所有者」と定めています。
賃貸化が進んだ管理組合であっても、役員さんの就任要件として「現に居住する」という要件は外しても理事長に関しては「現に居住する」という項目は外さない場合がほとんどです。
ところが「現に居住する」という記載のみならず、「区分所有者」という要件さえ外している管理組合さんがあります。

その管理組合さんでは、理事長はそのマンションの区分所有者でなくてもいいのです。
これを第3者管理方式と呼びます。
つぶやき主もかつてはいわゆる“やとわれ理事長”をいくつかやったことがあります。
通帳や印鑑はもちろん預かりません。通帳は会計担当理事さんが、通帳は副理事長さんに保有してもらっていました。

国交省では、民法や区分所有法に関してや、管理全般について素人の区分所有者に輪番で理事長さんに就任してもらうよりも、そのことについて詳しい専門家を理事長(管理者)に就任させ管理の適正化を図ろうという方向にベクトルが向いています。
実際の管理の現場に携わっているものから見ればこの方向性は正しいと思います。

では実際に誰が管理者として相応しいのかというと、これはマンション管理士となります。
しかし、マンション管理士専業でやっている人の数は決定的に少ないし、またつぶやき主のところと同様零細企業です。
“こんなところに管理組合さんの大事なお金を預けちゃ、ダメよ”ってことでマンション管理士が第3者方式で理事長へ就任する際は、通帳と印鑑を持たせないスキームが必要です。

管理会社が第3者管理方式で理事長へ就任しているところもあります。
北区のマンションでは分譲当初からそのように管理会社さんが理事長に就任するって「管理に関する承認書」へ記載されていました。
しかし管理会社さんは、管理組合の補修工事などを請け負う事があるので、理事長として発注者の立場となり、管理会社として請負者の立場となることとなり、利益相反行為となることがあり得そうです。あまりお勧めできません。

マンション居住者の高齢化などによる役員の成り手不足、マンションという建物それ自体の高齢化、合意形成の難しさ、適正適法な総会開催の手順・議案作成など、どの方向から見ても今後は専門家でないと管理運営していくのは難しそうです。

「このマンションではマンション管理士を理事長とすることとなっていますので、適正な管理組合活動が保証されていますよ。また理事長にならなくていいんですよ」という太っ腹な売主さんが出てこないかな、って思っています。
これ、売れますよ。絶対!

でも無理そうです。
“こんないい加減な売り方している売主さんがつぶやき主を管理組合に紹介するわけないじゃん。”です。