マンション管理士の独り言・・・908

マンション管理士の独り言・・・908

「区分所有者」

標準管理規約をはじめ、目にする全ての管理規約では、組合員の資格は、「区分所有者となった時に取得し、区分所有者でなくなった時に喪失する」とあります。
標準管理規約では第30条です。
さらに第31条で、「新たに組合員の資格を取得し、または喪失したものは、直ちにその旨を書面により管理組合へ届け出なければならない。」と規定しています。
また、役員就任要件として、標準管理規約では第35条2で「理事及び監事は、組合員の中から総会で選任する」となっています。
第35条の2に関しては、“現に居住する”或いは“理事長に関しては現に居住する”としている管理規約もありますが、多少の違いはあっても役員に就任できるのは組合員に限定されています。
ですから、「役員に就任するには、組合員でなければならず、組合員は区分所有者」という流れになっています。

“何を今更、こんな当たり前のことを言ってんだ”と思われるかもしれませんが、この区分所有者という事に関しては明確な位置づけがなされていません。
区分所有者=登記されている人(登記名義人)だろうと言うと、実際にはそうでないケースが沢山あります。
日本の登記制度は公信力がなく、登記されていることが必ずしも現実とは限りません。
死んだおじいちゃん名義のままになっている建物なんて、いたるところにあります。
死んだおじいちゃんから相続を受けた息子さんがそこに住んで生活していて、息子さんが固定資産税も支払っている。誰がどうみてもその建物の所有者は息子さんで、登記名義人となっていないだけ、なんていう事例はそこかしこ、です。
“登記名義人と所有者とは必ずしも一致しない。異なるケースは沢山ある”っていうのが法曹関係、不動産業界では常識です。

“区分所有者とは登記名義人とする”と管理規約に明確に記載していれば別ですが、こんな管理規約は見たことがありませんし、おそらくこのような規定は法律的にも難しいと考えられます。

このことは分譲マンションにおいても当てはまります。
父親が将来の相続の事を考え息子さん名義でマンションを購入し、住んでいるのは父親。
息子さんも“名義は自分だが所有者はお父さんだよ”って言っている。
こんなケースの場合で、お父さんから“自分が区分所有者だよ。組合員だよ”って届けられたら管理組合は素直に受理すればいいのです
届けられた組合員資格取得書面に対し、管理組合としてこの書面に記載していることは事実なのか?なんてことをいちいち調べる義務はありません。
もし区分所有者でない人が区分所有者と偽って、議決権を行使したとしても悪いのは偽りの届け出を提出した人であって、それを受理した管理組合ではありません。
管理組合にそこまでの義務と負担を押し付けちゃ、ダメです。

総会の時期です。新たに役員に就任する人に対して、あまり良い印象を持っていない。役員就任を何とか阻止したい。こんな時によく「登記名義人でないから区分所有者でない、したがって役員になれない」という論法を使ってくる現役員がいます。
困ったものです。

金麦からクリアアサヒに変えました。結構いい感じです。
まだまだ発泡酒をウロチョロしています。ビールへ昇格できません。
最近は、キャノンデールで汗かいて、クリアアサヒです。