マンション管理士の独り言・・・909

マンション管理士の独り言・・・909

「管理組合、理事会はそんなことしなくていいの」

前回は、区分所有者についてつぶやきました。
区分所有者が組合員となり、また組合員でなければ役員になれません。
ではそもそも区分所有者とは?登記名義人が区分所有者?
日本の登記制度では、公信力がありませんから登記名義人=所有者ではない事例はたくさん存在します。
「私が区分所有者です。組合員です」って届け出を出されれば、それを受け付ければ良いのです。本当に所有者なの?って調べる必要なんかありません。

総会の時期です。
規約により総会開催日の1週間か2週間前には議案書を配布しなければなりません。
そのマンションに住んでいる方ばかりならばいいのですが、転勤などでそこに住んでいない、いわゆる不在区分所有者もいます。
そんな不在区分所有者にも漏れなく議案書を配布しなければなりません。
どこ宛に届けるかというと、その不在区分所有者から“ここに送って”と提出された先に送ればいいのです。
不在区分所有者が、当初のAからBへ、さらにはCへ転居している場合もあるでしょう。
でも届け出が出された住所は当初のAのままです。こんな時はAへ送ればいいのです。
管理組合で住民票から追跡して現住所を探し出して郵送する、なんて必要は全くありません。管理組合にはそんな義務も責任もありません。
届け出を出していない方に対しては、マンション内のその不在区分所有者の住戸へ投函すればいいのです。
これを、“大事な議案だから新しい転居先を見つけ出して議案書を送付するべき”なんていう組合員がいます。
正論のように聞こえますが、管理組合はそんなことはしなくていいのです。

総会への出席者が年々減ってきます。
大規模修繕工事をどこに発注するかなどの重要な議案を審議するときは、多少は多いのですが、例年通りの議案となれば、年々出席者が減ってきちゃいます。
出席者を増やすために様々な取り組みを行う管理組合さんもあります。
戸畑の管理組合では、総会後に親睦を兼ねた懇親会を設定していたりします。
通常は、総会開催の案内文に「重要な議案を審議しますので、是非ご出席ください」などを記して出席を促します。
そんな時、組合員から「年々総会出席者が減っている。理事会で1件1件回って、総会へ出席する様お願いしてはどうか」というご意見が出ることがあります。
その意見を受け入れて戸別訪問して出席者を多くしたという管理組合さんもあったりします。
これも正論のように聞こえますが、理事会ではそんなことはしなくていいのです。
何故、出席しないのかの理由は様々あるでしょう。
「あんな怒声が飛び交う総会には出席したくない」「自分には興味のない議案ばかりだから」「仕事で出られない」「管理組合活動には全く興味がない」などいろいろです。
理由は様々であっても、極論すれば、“総会に出席する、しない”はその人の自由なのです。

実務に携わっているものとして、最近は管理組合や理事会を苦情処理窓口と勘違いしている組合員が多くなってきている印象を受けます。
以前の様に「皆のために頑張ってくれている。有難う」という意識が希薄になっているような気がします。
「あれもやれ、これもやれ」「こうすべきだ」・・・です。
もっとリスペクトしなきゃ、です。

総会終了後に任期を全うした役員さんの「やっと肩の荷が下りた。ほっとした」という晴れ晴れとした顔を見る度に複雑な心境になります。