マンション管理士の独り言・・・917

マンション管理士の独り言・・・917

「住宅宿泊事業法、略して民泊新法」

6月15日から民泊新法が施行されました。
昨年5月に参議院を通過し、本年3月より各自治体で受付が開始され、6月15日からの施行となったわけです。
新法施行に際し、分譲マンションにおいて民泊を禁止しようとする管理組合は、明確に「民泊禁止」を規約に規定することが必要との見解が国交省から出されました。
今までの標準管理規約では、第12条に「専有部分の用途は、住居に限る」としていたのですが、これでは不十分で受付が受理されちゃう可能性がある、ってことで規約にしっかりと民泊禁止を規定することを勧められました。

多くの管理組合では、年度末が3月、その2か月後の5月を総会としており、それでは3月の受付開始時期には間に合いません。
民泊の届け出が提出されちゃう可能性があるので、総会までの間は「理事会では民泊禁止としました。5月の総会で規約改正の承認をいただく予定です。」として、組合員へ周知するようにとの指導でした。取り敢えずの理事会決定です。
そして多くの管理組合さんではこの指導に従って、理事会決定として組合員へ周知し、5月の通常総会で規約を改正し民泊禁止としました。
まさか、この「独り言」訪問者の住んでいるマンション管理組合で、民泊禁止を規定するの忘れた、ってことはないと思います。

“改正の提案がなかった”なんていう管理組合さんがあったら、そんな初歩の初歩の提案もできないような管理会社さんとはサッサとオサラバすることをお勧めします。

もう管理が開始されている管理組合さんは、ほとんどすべてこの手続きに従って、無事に管理規約改正が出来ていると思われますが、ちょっと心配なのが、現在分譲中で6月以降の引き渡し物件です。

新規物件の管理規約は、売り主や管理会社さんが今までの経験や知識で管理規約(案)を作成しています。これを原始管理規約と言います。
マンション購入者がこの原始管理規約を読んで、理解して、“この管理規約(案)でいいよ”と購入者全員が承認すれば晴れて管理規約となり発効します。
この原始管理規約では民泊についてどのように記載しているのかを確認しておくことが重要です。
複数の該当マンションの管理規約を確認しましたが、残念ながらどれも民泊禁止とは規定されていません。
今後管理組合が設立されたら、民泊禁止の規約改正が必要です。

特にワンルームや1LDKなどの投資物件が混在しているようなマンションならば、簡単に民泊禁止と規約改正とならないことも考えられます。
3LDKや4LDKのいわゆる実需マンションならそんなに問題ないと思いますが、それでも売れ行きが悪いと投資家へまとめて売っちゃう、ってこともあり得ます。
ワンルームなど投資目的でマンションを買われる方は、利ザヤのいい方にシフトします。
一般的な賃貸より民泊の方が、より儲けになるとなれば、民泊禁止の規格改正にスンナリ“ウン!”とは言わないことが考えられます。

マンション購入に際しては、売買契約書、重要事項説明書、など重要な書類が沢山ありますが、住んでから以降のそのマンションの生活のバイブルとなる管理規約が一番大事です。