マンション管理士の独り言・・・918

マンション管理士の独り言・・・918

「理事長の権限」

3月末が年度締めの管理組合さんでは、新しい役員さんが産声を上げました。
そして総会後に新役員さんによる互選があり、そこでは理事長以下の役職を決めるというドラマがあったはずです。
副理事長や監事には立候補者がいるのに、誰も理事長職だけはやりたがりません。
まだ、役員にあったことのない人達ばかりなのに、まるで「理事長やっちゃいけないDNA」が祖先より引き継がれているかのように理事長職を避けようとします。
互選と言いながら、最終的には「アミダくじ」に落ち着きます。
本人が参加せずに代理人として参加した奥さんが引き当てたり、管理会社が代わりにくじを引き、見事理事長職を引き当てるってケースが多いようです。
管理会社さんには、“管理会社さんやつぶやき主が引き当てた役職に異議を言ってはいけないという誓約書を予め書いてもらっておいてね”って指示します。

その理事長さんを中心とした理事会の権限っていうと、特別なものはありません。
標準管理規約で定められた主なものは、①総会で承認された予算や事業計画の遂行 ②次回総会で提出する予算案や決算案、事業計画案、規約改正案の立案 ③管理費など滞納者に対する法的措置の追行 ④その他総会で付託された事項 です。
④その他総会で付託された事項っていうのは、“本来は総会を開催して承認を得るのが望ましいが、そう何度も総会も開けない、この程度のことは理事会さんで決めてやっていいよ、理事会さんにお任せします”って予め総会で承認された事項を遂行する事です。

それ以外には、理事会単独判断でやっていいってことは、特にありません。
理事会でさえ、これくらいの権限なのに、理事長さんの権限なんて特にありません。
強いて言えば、保険金の受領に関し組合員を代理するってことくらいです。
保険事故が発生し保険金が給付されることになった。
保険金というのは可分債権なので、本来は組合員に持ち分に比して分割して受領させなければなりません。
単純な例ですと、100戸のマンションで100万円の保険金が支払われるとすれば、一人に1万円ずつを支給する、としなければならないものです。
でもこれじゃ、受給した保険金で保険事故箇所の補修ができなくなっちゃいます。
そこで規約で保険金の受領は他の組合員を代理して理事長が申請し、受領しますよ、と規定しているわけです。
勿論支給された保険金は、理事長の財布に入るのではなく保険事故箇所の補修に使用されます。

これを何を勘違いしたのか、理事長だから特別な権限があると思い込んでいる理事長さんがいます。
先日の理事長さんは、総理大臣の様に議会の解散権があると思っていたから驚きです。
解散って何を解散するのでしょう???

“何も権限がないのに、責任ばかり持たされる”“総会でやり玉に挙げられる”など、理事長さんに対し全くリスペクトしていない組合員さんが増えているのは身をもって感じています。まるで理事会を苦情受付センターみたいに思っている人も増えています。
その一方で肩で風切って“理事長さんのお通りだ”みたいな勘違い理事長さんも増えてきているような気がします。

管理組合さんで、つぶやき主に対するスタンスも大きく異なります。“あれもやって、これもやって”みたいに何でもつぶやき主さんお願いねっていう管理組合さんもあれば、“組合員でもないのに出しゃばりすぎだ。そんなことは理事がするべきだ”って管理組合さんもあります。
“あれもやってあげます、これもやってあげます”の方が理事長さんや役員さんは大助かりだと思うのですが・・・。

つぶやき主は管理費などお金は預からないことを除いては、一人管理会社みたいです。