マンション管理士の独り言・・・923

マンション管理士の独り言・・・923

「議事録」

総会を終えたら、総会で話されたことや決まったことを残すために議事録を作成しなければなりません。誰が作成するかというと、議長さんです。
しかし委託管理の場合、通常は総会に出席した管理会社フロントマンが議事録(案)を作成し、それを議長が確認し、その後、総会で指名された議事録署名人2人が署名捺印して議事録が完成します。議事録(案)の(案)が消えて、議事録となります。
つぶやき主がお世話している自主管理の組合さんでは、つぶやき主が議事録(案)を作成しています。
議事録作成者は、議長。議事録署名人はその総会に出席した2名の組合員と規約にキチンと規定されているはずです。
しかし、いつまでに作成しなくちゃならないかについては、標準管理規約には規定されていません。また、期間を決めている規約にはお目にかかったことがありません。
でも、目安として2週間以内くらいでしょ。ご相談があった時も、「2週間くらいで作成しないと、総会で何が話し合われたか忘れちゃうでしょ」とお答えしています。
作成時期について規定がないことをいいことに半年後に作成したりする管理会社があったりしますので、困ってしまいます。

議事録には、総会開催の日時・場所・所要時間のほか、出席者の数も記さなければなりません。通常は「出席者は〇〇時○○分現在、実出席者○○名、委任状提出者○○名、書面による議決権行使者○○名の合計○○名です。出席者数は当マンションの区分所有者数○○名、議決権総数○○名、に対し、半数以上となり、本総会は有効に成立したことが宣言された」と記します。
その後、議事録署名人2名の指名を記載し、以下報告事項、議案と進んでいきます。

報告事項はただ単に報告するだけですから、承認を求める必要はありません。「報告事項の説明が○○よりなされた」となります。
議案については、「第1号議案について○○より議案の説明があり、その後質疑応答になった。」そして出された意見を記載します。複数出された意見で重複するときは代表的な意見を記せばよいです。また、文言を一字一句正確に記すことも求められていません。意見や質問の要領をえていればOKです。発言者については、一般的には記すことはしません。
そして、意見も出尽くしたようなので、議長は裁決に入った。賛成多数で本議案は承認された。(または、否決された)と記載していきます。第2号議案、第3号議案~とこのような記載が続きます。
なんてことはありません。総会で話し合われたこと、決まったことを淡々と事実そのままに記せばいいのです。

今までが前置きです。長くなりましたが・・・。議事録に細工をしようとする理事長さん(=議長)が多くて困ってしまいます。
議事録署名人の方から、「事実と違うことが議事録に記載されている」「出なかった意見が出されたようになっている」「反対意見が出て、紛糾したので採決しなかったのに承認されたようになっている」などです。
「出なかった意見が出されたようになっている」というは、「出した意見が削除されている」とは次元が違うほど悪質です。
そして、「事実と異なる内容なのですが、署名しなきゃいけませんか?」また、「理事長から強く署名するよう求められている。どうしたらいいのでしょう?」です。
これに対する回答は、「総会で話し合われた事実と異なる内容ならば、議事録署名人は署名捺印してはいけません。」です。
議事録署名人の署名欄の前に、「本議事録が真正であることを証します」と記載されています。真正でないものに、真正であるとして署名捺印を行えば、今度は議事録署名人としての責任を問われることとなります。

折角理事会で議論を重ねて当マンション管理組合にとって良かれと思って議案提出したものが承認されなかった、というのは議案提出者として歯がゆいと思うのはわかりますが、議事録に総会で話し合われていないことや、決まってないことを決まったかのように記すのは間違いです。

議事録は主観を交えず、総会で話し合われたこと、決まったことなど事実を記すものです。