マンション管理士の独り言・・・927

マンション管理士の独り言・・・927

「こんな事、出来ました!!!」

北区マンションの続編です。
前回は大規模修繕工事コンサルをご依頼されたつぶやき主が、竣工図書に記載されているのに設備されていない屋外階段の雨水竪樋を売主や施工会社と掛け合って、無償で設置させた件。さらには高額で請け負った劣化診断の精度がそれほどでもなく、管理会社からその分の代金を取り戻した件をつぶやきました。
実はこれで終わりではなかったのです。

13階と14階住戸の開放廊下に面したお部屋に防火シャッターが設置されていました。通常は窓上の箱に格納されていますが、火事の際にシャッターが自動的に降りる仕組みになっています。
この防火シャッターの格納箱下部が、向かって左4分の1くらいに梁が突き刺さっているような状況になっているのです。
ですからシャッター格納箱下部は窓の長さの4分の3くらいしかないのです。
シャッターを4分の1だけ切り取っているのか?あるいは、防火シャッターを優先して梁をその分欠き込んでいるのか?の2つに1つしか考えられません。
建築士さんの見解では、建物の構造上梁を欠き込むことはあり得ない、シャッターの方がダミーで用をなさないようになっているのでは、でした。

実際にシャッターを下ろして確認するしかありません。
管理組合役員全員の立会のもとにシャッターを下ろしてみました。
すると、シャッターはキチンと機能するのです。切り取られた箇所もありません。
つまり梁の方を防火シャッター格納庫と緩衝する部分だけ欠き込んでいるのです。
これには管理組合役員、建築士、つぶやき主もお口アングリでした。
管理組合役員さんは怒り心頭です。「梁を欠き込むとは何事だ!!」です。

ここからまた、つぶやき主と売主、施工会社との長いバトルが開始されました。
“なぜこんなことをしたのか?”については、“当時の担当者がいないのでわかりません”の1点張りです。
当時の担当者がいようがいまいが、本件に関しては、一方的に売主サイドに非があり、しぶしぶですが売主サイドもそれを認めています。
まずは売主サイドに構造耐力上問題がないことを証明させます。
仮に証明できたとしても、欠き込むことで、欠き込まない状態より間違いなく耐力はその分低下しているのは否めません。
従って、続いては当初の設計時に予定していた耐力となるまで補強工事を実施してもらわなければなりません。
その補強工事でよいのかどうかを建築士と相談しながら、同時に管理組合への説明も行わなくてはなりません。
「ゴメンね。悪かったから、悪かったところを直す。そんな話ならば、警察はいらない。賠償金も支払ってもらえ」など一部には強硬な組合員さんもいます。

売主サイドとは、復旧工事の方法などの交渉や打ち合わせを重ね、その一方で管理組合の合意形成に向けての活動も行わうという日々が続きました。
何度も説明会、総会を実施しました。議案書を何度作成したことか。
その甲斐もあり、何とか総会で補修方法などについて承認を得ることができ、その後は建築士さんと協力しながら補修工事の監理を行いました。

この管理組合さんとは大規模修繕工事後も、“顧問として残ってください”と懇願され、今でもお世話しています。管理会社さんとも割と良好な関係です。

前回、前々回と3回にわたり「こんな事、出来ました」シリーズをつぶやいていますが、つぶやきながら大変だったことが呼び起こされます。
しかしそれにしても、これってマンション管理士のお仕事?

次回からはもっと強烈です。