マンション管理士の独り言・・・931

マンション管理士の独り言・・・931

「こんなこと、出来ました」

台風15号、中間編です。前回まではガラスの飛散で被害を受けた車両13台に対し1400万円くらいの補償を行うことですべての所有者と示談成立したとつぶやきました。
つぶやき主的には、これでご依頼のあった業務は完了となるのですが、管理組合からすれば修繕積立金がその分大きく減額となったとなるわけで、マンション管理士としてそれを黙って見過ごすわけにもいきません。

このマンション管理組合さんは、共用部に保険を付保しています。
坂本龍馬~岩崎弥太郎経由の超大手の保険会社です。
割れた窓ガラスの補修費用は400万円くらい保険給付されていましたが、これは補修費で飛んで行ってしまいます。
損害を被った車両に支払った補償金1400万円は、全額管理組合負担のままです。
これについての保険金請求に対し、保険会社からの返答が届きました。
「管理組合として管理会社に管理を委託し、目視点検なども実施されており管理に不手際があったとは思われない。管理組合には瑕疵があったとは認識されません。被害原因は台風による自然災害なので保険金給付の対象とはなりません」との回答です。
建物が壊れたことが原因で損害が発生したときは、無過失責任なので、被害者に対し加害者となる管理組合が責任を負わないといけないのは言うまでもありません。瑕疵担保責任と同じです。
今回の被害をもたらせた原因のすべてを台風のせいだと決めつけた回答です。
「台風などの自然災害で第3者などへ損害を被らせた場合には免責される」ということを言いたいようです。

ここからは弁護士先生に助っ人をお願いしました。
ここでも臨時総会が必要です。また議案作成です。
弁護士先生に総会へご出席いただき、費用や見込みについてお話していただきました。
そして、【保険金請求する件について】【弁護士に依頼する件について】という議案の承認を取り付けました。
弁護士先生と、つぶやき主と懇意にしている1級建築士とつぶやき主とで強力なチームを組み、いろんな資料を取り寄せ、作成しました。
「今回第3者所有の車両に被害が出たのは、原因のすべてが台風ではない。現に前にも一度同じサッシュが割れたことがあった。その補修にまた同じ厚みのサッシュを使用するなど管理組合の管理に落ち度があったではないか」という論法です。
台風15号の当日の瞬間風速や割れたサッシュの耐風強度、1級建築士見解書なども添えた資料です。
これを岩崎弥太郎末裔の保険会社に突きつけます。

あっさりと白旗を揚げました。保険金給付の対象となりました。
しかし、被害車両へ支払った補償金1400万円全額とはいかず、900万円でした。
これも初めは850万円の提示だったものを、“もう一声”とお願いしたら割とスンナリと、「じゃ、50万円上乗せして900万円で」となりました。
言ってみるものです。

管理組合さんは、ダメでもともと、というつもりで弁護士に依頼して保険金請求していたので、900万円給付されるという結論に大喜びでした。

最後にもう一度臨時総会を開催して、すべての業務が完了したことを報告してつぶやき主の仕事は終わりました。

この日は、奮発して軽井沢ビールを飲んじゃいました。

「こんなこと、出来ました」ってマンション管理士の仕事?
でも、つぶやき主にしか出来ない仕事だって、自負しています。