マンション管理士の独り言・・・933

マンション管理士の独り言・・・933

「こんな事、できませんでした」

竣工時にまだ売れていなかった住戸の管理費・修繕積立金を売主さんが負担しないので、その未納額が2000万円超えちゃったという話の続きです。
売れなかったことに管理組合は関係がない、未納額を支払ってよ、という文章を携えて直接管理会社さんを伴って売主さん本社へ乗り込みました。
担当の課長さんは“また、つぶやき主さんか、勘弁してよ”って苦虫をかみつぶしたような顔をしていましたが、後日回答しますってことでした。

後日書面で回答が届けられましたが、そこには「“未販売住戸あるときはその管理費・修繕積立金を売主は負担しない”旨を重要事項説明書に記載している。さらに管理に関する承認書にも同様の記載があり、購入者からは“それで承認します”という署名捺印をもらっている。これは有効な法律行為である」というものでした。
このような回答になるだろうと、予想していた通りのものです。

中間のマンション台風事件でタッグを組んだ弁護士先生へ相談し、「そりゃおかしいだろ。今回は完売まで4年だったけど、仮に10年も20年も完売できなかったとして、その分の管理費などをずっと負担しないということが常識として通るはずがない」と早くも戦闘態勢です。
“一度理事会や総会に参加して下さい。その場で説明をお願いします。日程は私がセットします。”です。

理事会でこの件を報告したところ、様子がちょっと変です。
微妙に前回と空気が変わっています。
“つぶやき主さんが帰った後、役員でしっかりと議論するから、結論はちょっと待ってて”でした。今までほとんど発言のなかった役員さんが何故か饒舌に議論の主導権をとっているようでした。
そして、後日、「理事会で検討した結果、裁判にまで行きつく可能性があり、それは管理組合の本意ではない。未販売住戸の管理費など未納分に関してはこれ以上議論しない。売主に対して未納分の請求は行わない。この件はもうおしまい」という結論が出されました。
そして翌年からの顧問契約は継続しないという方針も併せて出されました。
ガ~ン、でした。管理組合さんのためを思ってやったのに・・・。

このような売主さんの悪しき慣習を打破するためにも是非前向きに取り組んでほしい事案でした。

顧問から離れた後日、役員のお一人からメールが届きました。
そこには、「屋上防水の件は、つぶやき主さんが売主と交渉してくれたお陰で管理組合の手出しなしに補修できた。有難う。大雨時のエントランスの浸水に関しても役所との交渉で管理組合の負担なしでグレーチングを設置することができた。役所に設置してもらうよう交渉することがどれだけ大変か皆分かっていないんだと思う。今まで管理会社は何をやっていたんだと感じている。だけど未販売住戸の件に関しては申し訳なかった。この件で話の中心になった理事さんは、どうも売主さんの関係者だったみたいで、その人の剛腕で売主さんに請求しない、となってしまった。また、困ったことがあれば相談にのってね」でした。

そのマンションは長いこと完売できていませんでした。
こういう場合、売主さんは、売主さんの関係者、関連会社、協力会社、建築したゼネコン、司法書士、土地家屋調査士など、売主さんの息がかかった方へ安価で買ってもらうということを行います。
このことは分かっていたはずなのに、迂闊でした。功を急ぎすぎたようです。
つぶやき主という売主さんから見れば危険人物をこの管理組合から何としても排除するために、何らかの巨大な力が働いたようです。
「こんな事、できませんでした」です。

自転車通勤です。事務所についたら頭から水かぶって裸になってタオルで汗ふいています。
窓開けてるとこに上半身裸のオッサンが事務所内をウロウロしているのを見られて、変な顔されています。