マンション管理士の独り言・・・948

マンション管理士の独り言・・・948

「管理規約制定」

小倉北区の管理組合さんからのご依頼で管理規約を作成しています。
築40年くらいになるのですが、管理規約がない状態がずっと続いていました。
管理規約がないとどうなるかというと、野放しで何でもかんでも組合員の裁量に任されるというのでなく、区分所有法に従わなければならないという状態に置かれます。
区分所有法は言うまでもなく法律ですので、そのマンションの特徴などを加味しておらず、また結構キツイ縛りになっています。
管理規約の方がそのマンションの特徴を取り入れ、そこに住まう方のマンションライフにあったルールにすることが出来ます。

何故今まで管理規約がなくて穏便なマンションライフが営めていたかというと、そのマンションは住戸3戸しかない、とっても小さなマンションだからなのです。
(奥様は魔女みたいな発音がのぞましい、っす)
区分所有法や標準管理規約の様に、総会を開催するには、開催日の1週間目とか2週間前までに議案を配布し、また総会では予め配布された議案書に書いていること以外は決議できない、なんてことはこのマンションでは必要ありません。
3人さんのうちの誰かが、“話したいことがあるので、今晩うちに集まってよ”で総会開催となります。
議案書も必要ありません。そこで思いついたことを話し合って決議も出来ちゃいます。
だって組合員全員が参加しているし、全員が賛成しているから総会は有効に開催され、決議も有効になされた、ってなっちゃいます。
仲のいい3人さんだから、皆で話し合って皆で決めていきます。
理事長とか監事などの役職も設定しておらず、順番に通帳管理を行っています。

管理規約がないから当然使用細則もありません。各自の良識のある行動で特に目立ったトラブルも発生していません。
今まではこれで良かったのですが、将来3人のうち誰かが住戸を売りに出したり、貸したりしたら今までのような訳にはいかなくなっちゃいます。
また今どき管理規約のないマンションなんて買う人はいません。
また、高齢になり3人全員が集まれなくなり有効な総会が開催できなくなることも懸念されます。
そんな時は、誰かほかの人に委任したいが、議案書がない状態で白紙委任は出来ない、となります。
この辺でしっかりした管理規約を制定すべきだという機運が持ち上がりつぶやき主にお声がかかりました。

“3住戸だから簡単に管理規約作れるだろう”って思っていればそれは大きな間違いです。
管理規約新設や改正、管理組合の法人化など区分所有法で4分の3以上の賛成が求められている強行規定をどのように扱うかにも頭を悩ませます。
強行規定ですから4分の3以上という承認要件を上げることも下げることも禁止されています。3人のうちの2人が賛成ならば4分の3には届かないし、全員賛成とすると4分の3をオーバーしちゃうし、です。

また、通常の議案で求められる普通決議の場合は過半数の賛成が求められます。
3人のうち2人が賛成すればその議案は承認となるのですが、実際生活するうえで反対する1人の方とどのようの折り合いを付けるのか、全員賛成とすべきではないかと、これも頭を悩ませます。
仮にどの議案も全員賛成としてしまえば、何も決まらなくなるのでは何て言う心配も出てきます。

丁寧に条文の主旨を理解していただき、納得してもらうしか方法はなさそうです。

一番問題なのは、3人しかいないから、正規の料金もいただけないし・・・。