マンション管理士の独り言・・・953

マンション管理士の独り言・・・953

「エレベーター異音」

かれこれ1年前からの話になります。2基のエレベーターのあるマンションの1基から異音が発生しました。
最近のタイプはエレベーターピット内の最上階の横の壁に巻上機やモーターが設置されています。
昔は地下ピットに設置されていたタイプもありましたが、大雨時に水没するなどの事故が多発したので、最近は最上階壁の横に設置されています。
巻上機が最上階に設置されていますので、異音は下の階では聞こえず、最上階に近づくにつれて聞こえてきます。
それほど大きな音でないため、1か月に一度の点検員が現地にきての点検でも見逃されていたほどの微かな音です。
しかし正常でないため、巻上機の交換が提案されました。
このマンションではエレベーターメンテナンスはメーカー系メンテ会社に依頼しています。フルメンテナンスでなくPOG(パーツ・オイル・グリースのみ無償、他は有償)の内容となっています。
メンテ会社さんの見解では、フルメンテナンスならばこの程度の微音であっても直ちに交換する状態とのことです。
POGなので、巻上機交換費用はすべて管理組合負担となります。その費用280万円です。

“ではご提案通り交換しましょう”とはなりません。
まだ8年しか経過していないからです。通常巻上機の交換は、リニューアル時に実施しますから25年~30年の間で行うのがマンション業界、エレベーター業界での常識です。
また、何故通常の耐用年数の3分の1の期間で異音がするのかの原因もはっきりしません。
2基のうち1基での異音ですが、今は何ともなく稼働しているもう1基でも、いつ同じような症状が起こるかもしれません。
通常エレベーターは1日に500回程度の上り下りというのが標準的な使用頻度らしいのですが、このマンションでは800~1000回あり、これが原因の一つだろうという説明がなされましたが、それ以上の頻度で使用していても何の問題もなく稼働しているエレベーターもあり、説得力には欠けます。

原因究明のためには巻上機自体を調査するしかありません。
しかし巻上機の調査は、一旦外して工場で実施するしかありません。現地での調査は、エレベーターピット内の最上階での作業となり、危険を伴うため出来ません。
現地では、耳で聞くくらいしか確認することが出来ないものです。
キチンとした検査を行うためには、新しい巻上機を設置して異音がしている巻上機を外すしか方法がありません。
一旦設置した新しい巻上機を調査後にまた取り外して以前のものを設置するというのも現実的ではありません。

理事会では“通常25年以上はもつものが、8年で交換とは、おかしいだろう。そもそも初めから不良品だったのでは?”というご意見が出されました。
また異音が発生している箇所が「はめあい部」というのに対しても意見が出されます。
“「はめあい部」というのは機械のほとんど心臓部に該当するような大事な箇所だ。そこから何故異音がするのかキチンと調べるべきだ”
“調査するにしてもメーカーさんが調査したのでは、手前みその調査結果にならないか?どこか第3者機関での調査は出来ないのか?”
“同じ機種のエレベーターでも同様の異音発生の症状が出ているはずだ。リコールの対象ではないのか?”

異音がしだしてから、月に2度くらいのペースでエレベーターメーカーさんと管理会社、それにつぶやき主で話し合っています。
来月くらいに経過報告の説明会を実施する予定です。

つぶやき主が悪いわけではないけれど、胃が痛くなります。