マンション管理士の独り言・・・954

マンション管理士の独り言・・・954

「エレベーター異音その後」

2基あるうちの1基のエレベーターから異音が発生しました。
巻上機の「はめあい部」からのもので、通常25年以上もつものが、なぜ8年くらいで異音発生するのか?の原因がわからなければ、総会では280万円もする巻上機の交換議案が承認されません。
しかしエレベーターピット内の最上階の横壁に設置している巻上機を調査するには、一旦取り外して工場で調査するしか方法がありません。
現地での調査は高所となり危険を伴うので行われません。

調査はメーカーの工場で行われるため、その調査結果にも信頼性がありません。
第3者機関を調べました。独立系メンテ会社数社へ問い合わせましたが、どこのメンテ社もそのような調査能力は持っていません。
「メーカーさんで調査するしかなく、またそれを信用するしかありません」と、どこも判で押したような回答です。

一般社団法人日本エレベーター協会へも聞きましたが、そのような第3者機関はないという事です。
本当にトコトン調べようと思ったら、大学の研究室や大きな企業の工場でそのような調査を行ってくれるとこを探すしかありません、とのことです。
現実的ではありません。管理組合でそこまでやるわけがありません。
「他のエレベーターメーカーに調べてもらえないか?」という考えもちょっと頭をよぎりましたが、受けてくれるわけがありません。
かつて西日本新聞からエレベーターリニューアルの実態を新聞記事にするので分譲マンションの実態をコメントしてほしいと依頼されたことがあり、その折ずいぶん調べたことがあります。
エレベーターリニューアルに際しても、当初から設置されているA社のエレベーターをB社に変更するなんて出来ませんし、B社は見積もりさえ出してくれません。
エレベーターピットからなにから全て取替える場合は、建築確認を提出する必要があり、費用も2500万円くらいかかりますが(リニューアルでは7~800万円程度)、その時は喜んで競争見積もりに応じます、ってスタンスです。

分譲マンション購入者は、エレベーターメーカーを自分たちで選んではいません。
「買ったマンションは、○○エレベーターだった」ということです。
売主や施工ゼネコンさんが決定したメーカーのエレベーターが付いているのです。

一旦設置された以上、そのメーカーのエレベーターが嫌いでも、或いは不具合が多くても、他社メーカーから部品の提供を受けることも出来ませんし、また見積もりさえ出してくれません。
そのマンションが建っている限り、ず~っとそのメーカーのエレベーターです。
“競争原理って、何のこと~??”です。
また、「故障が多く、そもそも製品に不具合があるのでは?」と思っても、調査はそのメーカーに限られますし、車の様にリコールなんて制度もありません。

愚痴っても始まりません。「そのような業界だ」ということを頭に入れながら、管理組合の利益のために、また組合員の安全のために上手にお付き合いするしかなさそうです。