マンション管理士の独り言・・・955

マンション管理士の独り言・・・955

「地面屋」

戸建てでもマンションデベロッパーとしても超1流の積水ハウスが、地面屋という詐欺集団に騙されて55億円もの被害にあいました。
責任を取ってか、取らされてか、会長は辞任しちゃいました。
経験も知識もたっぷりある超大手の積水ハウスがコロリと騙されちゃうことが、にわかには信じられませんでした。
交渉の場には、司法書士でなく弁護士までが同席していて何故?って感じです。
報道では所有者であることの証明のためにパスポートまで偽造し、そのパスポートはペンライトをあてるとちゃんと光るように精巧に作られていたようで、弁護士も、もうお手上げ状態だったようです。

実は分譲マンションや宅地売買の際には、このような詐欺まがいの話が頻繁にあります。
分譲地の実例ですが、団地の中央に位置するその団地のシンボルともいえるような1等地に申し込みが入りました。
土地売買契約も無事完了し、手付金は通常より多めに設定されています。後日その金額が振り込まれました。
そしてその翌日、その土地に「○○組建設予定地」という看板が出されました。
暴対法が施工される前の事例ですが、売主さんは大慌てです。
団地内の1等地にそんな組事務所を建てられたら、買う人なんていません。
その団地は売れやしません。
何とか、建設を阻止、売買契約を解約しようと動きます。そして手付金の倍返しで話がまとまりました。
暴力団は初めから手付金倍返しを狙って、多めの手付金を敢えて設定していたのです。

分譲マンションでよくある話としては、・・・
マンションを購入し5%程度の手付金を支払っています。
内覧会が開催され、多くの指摘項目が出されます。手直しを行いますが、確認会でも相変わらず、「手直しが充分でない」という指摘が続きます。
「手直しが充分でない」けれど、「賃貸契約が切れて、現居を退去しなければならない。購入したマンションに入居させてほしい、手直しには協力するので入居させてほしい。そもそも手直しが充分だったならば、こんなことにはなっていない。お宅の手直しが不十分であり、お宅にすべての責任があるのに、ウチが入居できないというのはオカシイ」と詰め寄られます。
同時に「手直しが完了していないのに、残金は払わないよ。手直しが完了したら全額支払うよ。当たり前じゃない」と強引に話をまとめられちゃいます。

そしていくら丁寧に手直しを行って決して満足はしてくれず、アレが悪い、コレが不十分だ、と難癖をつけられます。
この段階で、「オカシイ。初めからそのつもりでは」と気付いてももう手遅れです。
そして最後には、デベさんの方から「残金はもう結構です。その代わり手直しも行いませんし、アフターサービスも行いません」という提案となります。
「ウチは残額支払う用意があるのに、お宅がキチンとした手直しできないのが原因だよ。でもこのまま続けても満足いく手直しにならないだろうから、お宅の提案を飲むよ」となります。

つぶやき主もこの手のお客に何度か遭遇しましたが、無事乗り切りました。
売らなかったのです。
「何でウチに売らないんだ」と凄まれましたが、「社の事情でお売りできません」の一点張りです。
「社の事情って何だ?」と畳み込まれますが、具体的なことは一切言わず、「社の事情です」を繰り返しました。
「社の事情だけじゃ、わかないだろ。具体的には何だよ?」って問い詰められますが、相変わらず「社の事情です」
そのうち相手がウンザリしてきます。

これで何とか乗り切れました。怖かった~。