マンション管理士の独り言・・・956

マンション管理士の独り言・・・956

「ほんとにあった怖いお話」

当時のつぶやき主の先輩の話です。つぶやき主はまだ駆け出しだったので、いつも同行営業してもらってました。
注文建築用地に申し込みが入りました。申し込んだのは、役所を定年間近の初老のご夫婦。
間取りも決まり、請負契約も終え、着工です。40坪近いのですが2LDKという変な間取りだな~って思っていましたが、ご夫婦2人ならそれもアリかな、って感じでした。

当時の住宅金融公庫への融資申し込みも無事完了し、いよいよ引き渡しって時に、そのご夫婦が突如住宅金融公庫をキャンセルしました。
キャンセルの理由は、銀行担当者が気に入らないってことです。銀行担当者に問い合わせても、「自分には落ち度はないですよ。何故、気に入らないのか見当も付かない」って事です。
初老のご夫婦は、“住宅金融公庫からの融資がなくたって、退職金があるからキャッシュで払う”って言われます。

本来ならば、全額入金と同時に引き渡すのですが、公務員だったことと、人当たりのいい初老のご夫婦だったこともアリ、当時の責任者は引き渡し後の入金でもOKとしました。
その後、・・・初老の夫婦になかなか連絡が取れなくなり、そのお宅まで行ってみました。すると、○○組事務所という看板が掲げられています。暴対法施行前のお話です。
恐る恐るインタホンを押すと、中からそれらしい人が現れて、「ウチは△△(初老のご夫婦)にお金を貸していて、なかなか返済しなくて困っていた。そうしたら家を購入して、その家を借金返済の代わりに引き渡すって言われたのでもらって住んでいる。」って説明されました。
先輩は勇気を振り絞って「ここは当社が△△さんから請け負って建築した家でまだ全額ご入金いただいていないので、他の人がお住まいになるのは困ります」っていいますが、強面のお兄さんは、「そんなのはウチには関係ないよ。△△が実際にここに住んでいて、ここが自分のうちで借金の代わりにこの家をくれるっていうから住んでるだけだろ。△△がこの家の代金を支払っていないなら、△△から取り立てればいいだろ」って、これは正論です。

その後、弁護士さんを介し、社の要請が認められ強制執行となりました。
つぶやき主も関係者という事で執行官と一緒にその家の強制執行に立ち会いました。
不在でしたので、予め呼んであった鍵屋さんが解錠し家の中に立ち入りました。
とても綺麗にされていましたが、居間の真ん中に大きなルーレットが鎮座ましまし、その盤の傍らには「○○組若頭□□」って一回り大きな名刺が積まれています。
居間を初め各部屋にはいかにも高級そうな家具が備え付けられています。
執行官が、「強制執行ですから家具は持ち出せます。しかしその保管はお宅の会社でお願いします。」です。
続けて「家具の保管には厳重に注意してください。もし傷ついたりしたら、所有者から損害賠償を請求されますよ」です。

そんな家具保管できるわけないじゃん、です。
全てにおいて相手の方が一枚上手でした。
善意の第3者となり、△△から家を譲り受け、強制執行されても保管を躊躇するような高級家具を備え付ける、という具合です。

△△さんは、立派に役を演じた、というストーリーだったみたいです。

その後、その家は社に取り戻され、中古住宅として破格の値段で売却されました。
どのような経緯で、そこに落ち着いたのかはわかりません。
一兵卒の営業マンであったつぶやき主が知っているのはここまでです。

こんな経験はしたくありませんが、こんなことも経験しているつぶやき主でした。