マンション管理士の独り言・・・986

マンション管理士の独り言・・・986

「瑕疵担保と品確法とアフターサービス」

売主さんの故意や過失によらないもの(無過失責任)であっても引き渡した目的物に欠缺(=瑕疵、隠れた傷を言う)があった場合には、売主さんは責任を負わなければなりません。民法の瑕疵担保責任です。
民法では瑕疵担保期間を買主さんが瑕疵の存在を知っていた場合(悪意)は引き渡し後1年以内に、瑕疵の存在を知らなかった場合(善意)は、瑕疵があることを知った時から1年以内に損害賠償を請求できるとしています。
この場合の損害賠償の内容は、補修ではなく、代金の減額か契約の解除です。
買主さんが瑕疵の存在を知らなかった時は、知ってから1年以内に損害賠償を請求できるというのでは、あまりに売主さんに酷だからという理由で、民法に対し特別法に当たる宅地建物取引業法では、引き渡し後2年という特例を設けています。

さらに、近年の消費者保護の立場から「住宅の品質確保に関する法律」でこの2年の瑕疵担保期間を延長させました。
内容は、雨水の侵入を妨げる部分や建物の主要構造部に関しては10年の瑕疵担保期間としています。
雨水の侵入を妨げる部分は住居部分に限る(バルコニーや共用部は入らない)など売主さんにとって抜け道はあるのですが、民法よりは消費者に手厚くなっているのは間違いありません。
また、損害賠償のみならず、補修請求も認められています。

これらに対しアフターサービスというのがあります。アフターサービスは、法律に基づいてのものではなく、あくまでも売主と買主双方の約定によるものです。
アフターサービスが適正に活用されることにより、売主は瑕疵担保責任という法定責任を免れるものではないにしても、キチンと補修を行えば実際には契約解除などの恐れはかなり低くなることが予想されます。また、買主にしても、多くの場合補修を適正に行ってもらえる、快適に住める状態にしてもらえるという安心感にもつながります。
アフターサービスも、品確法の瑕疵担保期間10年に沿っていますので、実際には両者の違いはあまりなくなっています。

しかし、アフターサービスの適用除外項目を悪用する業者さんがあります。
台風・強風・雨水害などの天災地変に起因する現象についてはアフターサービスの適用除外とされているのを悪用するのです。
大雨が降った際に、雨水の浸水があっても、“アフターサービスの適用除外項目だから補修しません”を堂々と言っていきます。アフターサービスの適用除外であっても品確法では雨水の侵入を妨げる部分は10年の瑕疵期間なので補修しないという理屈は通りません。
管理組合や組合員が知らないことを良いことに、民法や品確法やアフターサービスを上手に使い分けています。
管理組合も勉強しなくちゃいけません。

昨日は小倉南区役所で町内会長さんを集めて分譲マンションと町内会との関りについて1時間ほど講師を勤めてきました。北九州大学の学生さんも聞きに来られていましたので、力が入っちゃいました。
3月は小倉北区で講師勤めます。