マンション管理士の独り言・・・989

マンション管理士の独り言・・・989

「最高裁のアンポンタン」

司法試験にも受かってとても優秀なはずなのに、とんでもない判例を作ってくれたものです。分譲駐車場についてです。そのせいで管理の現場ではトラブル続出です。
管理に携わるものなら誰もが知っている「ミリオンコーポラス白亜館」裁判です。
最高裁まで行って、最高裁では分譲駐車場について認める判決を言い渡しました。
判決の内容は、簡単に言えば「重要事項説明書や売買契約書にこのマンションでは分譲駐車場があるって書いてたでしょ。そしてその代金は売主に入るってことも。分譲駐車場を買わない購入者だって、その分住戸を安く買えてるでしょ。契約自由の原則から、この記載は有効ですよ」というものです。
本当に安く買えているかどうか怪しいものです。
そのあと、取ってつけたように、「でもマンション住民からすれば好ましくない販売方法だし、将来トラブルになる可能性が考えられる。何らかの法整備が必要だよ」って言ってます。

民法の基本原則である契約自由の原則を守らなきゃいけない、というのもわからなくはないですが、一般的市民感情からすると全くおかしな判決です。アンポンタンな判決です。
敷地全部を売っておきながら、更に駐車場部分を売れるなんておかしいでしょ。明らかに二重売買じゃん。
さらに販売された代金が売主に入ってしまうのもおかしいし、何より困るのが、分譲された駐車区画分だけ賃料収入が減るので、大規模修繕工事の際にお金が足りなくなっちゃうじゃん、です。
全くおかしな判決を下してくれたものです。

他のエリアでは判決の後段部分に重きを置いて、分譲駐車場という悪しき販売方法を取りやめました。しかし残念なことに北九州では前段部分を錦の御旗にして相変わらず分譲駐車場という販売方法を取っています。
「○○不動産がやっているなら、うちもやろう」という低レベルな横にらみで複数社やっているので困りものです。
日本全国広しと言えど、いまだに分譲駐車場という悪しき販売方法をとっているのは、ここ北九州だけです。

“こんなトラブルの種になるマンション買わないよ”って購入者に見向きされなくなれば分譲駐車場という販売方法も淘汰されていくのでしょうが、皆さん買っちゃうからどうにもお手上げです。
なかやしきさんだけは分譲駐車場という販売方法に手を染めません。
大英産業さんも以前はやらなかったのに最近はやりだしました。
分譲駐車場という販売方法は、「禁断の木の実」です。手っ取り早く利益を上げられます。だから一旦手を出すとなかなか足を洗えなくなります。
「大英産業さん、販売好調なんでしょ。みっともない売り方しちゃダメだよ。企業の矜持だよ。」と声を大にして言いたいところです。

常日頃は分譲駐車場やっている売主さんでも、公社が絡むと分譲駐車場という販売方法をとりません。
ダブルスタンダードです。