マンション管理士の独り言・・・98

「区分所有者からの個別質問についての対応」

今月号のアメニティからご紹介します。
昨年までマンション理事長をされていた方からのご質問が掲載されていました。
「私が、理事長をしていたときに実施した大規模修繕工事に関して、施工会社の選定経緯について不自然なところがあるから、書面により回答してほしいという質問がA組合員からなされました。私はAさんに回答しなければならないのでしょうか?」というものです。

これに対して、弁護士先生が答えています。
東京地裁で平成4年に類似する事件が争われました。
この裁判では組合員が理事長に対して「文書の閲覧・写しの交付」を「書面による報告」で求めました。

これに対し、裁判所は、「理事長は管理組合総会で報告すれば足り、個々の区分所有者に対して、報告の義務はない」としました。
その理由として、
①区分所有法25条や管理規約の規定から、総会で選任された理事数名の中から互選で理事長として選出されたに過ぎず、個々の区分所有者から直接委任されているわけではない。
②区分所有法34条では、理事長は毎年1回総会を開催する事が義務付けられており、更に同43条では毎年1回1定の時期に事務に関する報告をしなければならないとされている。この事は総会で事務に関する報告をすることを予定している。

以上より理事長は個々の組合員の受任者ではなく管理組合との関係で受任者になると判断されました。
実務上も各区分所有者からの個別の要求に対しその都度業務報告をしなければならないとすれば、理事長の負担は大きいものになり過ぎます。

もっとも、どんな場合でも一切回答を拒否するのが適当かどうかは、ケースにより異なります。
個人的な感情対立やイヤガラセ的な質問に対しては、拒否しても構いませんが、質問者がまじめな態度で質問しているのであれば、誠意を持って回答することが円満円滑な管理組合活動に資すると考えます。

ほとんど原文のままのパクリの独り言でした。