マンション管理士の独り言・・・993

マンション管理士の独り言・・・993

「駐車場(軽区画)はややこしい」

駐車区画充足率100%のマンションです。
充足率というのは、30戸の住戸数があって、駐車区画が30台分備わっているってことです。つまり1住戸に1駐車区画です。
これだけ見れば何にも問題の起こらない、フツーに公平性が保たれたマンションに見えます。
ところが1区画だけが軽区画なのです。奥行きが4mしかなく、乗用車は停められません。通常軽区画をとるときは、30世帯として普通車区画だけで30区画あり、2台目区画として軽区画を用意します。
ところがこのマンションでは、30戸で1世帯1台分として30区画あるのはいいのですが、そのうち29区画は乗用車区画で、1区画だけ軽区画という構成です。

分譲当初は、30世帯もあればそのうちの1世帯くらいは“軽区画でいいよ、使用料だって安いし”ってご家庭もありますが、やがてお子さんが大きくなってくるとワゴン車に買い換えたいってニーズが出てきます。
今の軽区画から乗用車区画へ変更したいってご要望が理事会に寄せられます。
一方で、駐車区画を利用しないって方もいて、その区画については2台目区画としてご利用いただいています。
軽区画から乗用車区画へ移りたい方から、“私は1台目から軽区画なのに2区画とも乗用車区画を利用している人がいるじゃん。その人に代わってもらってよ。”というご意見です。
公平性の観点からもごもっともなご意見です。

ですが、事はそう簡単には運びません。2区画とも乗用車を停めていれば尚更です。
“そんなの無理よ。初めは安いからと言って軽区画を借りていながら、乗用車へ買い換えるから区画変更してよっていうのは我儘じゃない。自分が借りている区画に停められる車を買うべきジャン。それに2台目区画利用者は、軽区画利用者から移動の要請あった時は、移動しなければならないなんて規約にも細則にも書いてないじゃん”です。
こちらもごもっともです。

理事会で判断し、議案作成し細則変更を総会で承認してもらうしかありません。でも難しい判断です。足して2で割る様な案は導き出せません。
理事会としては、軽区画から乗用車区画へ変更を希望されている方に対しては、「2台目区画を利用している人に区画移動を強制することは出来ません。しかし、対象者へはお願いベースでお声がけはします。」「今後は住戸の売り出しに伴って駐車区画の抽選があります。その折を利用して、軽区画からの移動を試みてください」となりました。

公平性の観点からは、ちょっとシコリを残す結論ですが、管理運営上仕方ないかな、って思っています。

分譲時に軽区画や機械式駐車場、平面平置き、平面屋根付きなど数種類の駐車区画あるときは、その数や運営細則を確認し、更に専有部分の売却の際のそれまで使用していた駐車区画の取り扱い、2台目区画利用者の外れる順番なども確認しなきゃ、です。
それら全てを確認しても、住んでから以降必ず何らかのトラブルが発生するのが駐車区画問題です。