マンション管理士の独り言・・・997

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「エレベーターリニューアル」

お世話している海を渡ってのマンション管理組合でエレベーターリニューアルを計画しています。
平成4年竣工の建物なので、法定耐用年数の17年はもうとっくに通り越しているし、計画上耐用年数(物理的な寿命)25年も超えちゃっています。
最近のエレベーターメーカーさんは25年を過ぎるくらいから部品を作らなくなりますので、そろそろリニューアルしなきゃ、って思っていましたし、2年ほど前の通常総会でも、“近々リニューアルしますよ”ってアナウンスしていました。

その管理組合さんの「防災・減災マニュアル」を作成した折に、災害時のエレベーターの状況を調べたら、P波・S波感知機能もなく、要するに地震を感知したらそこで止まってしまうというものでした。
最近のエレベーターは人間が感じる揺れ(S波)の前の予震(P波)を感知して、その時点で停止し、その後非常用バッテリーが作動し近くの階に着床しドアオープンというシステムになっています。
つまり閉じ込め事故がないようになっています。
海を渡っての管理組合さんのエレベーターではP波・S波共に感知しないので近くの階に着床するようにはなっていません。結果閉じ込められちゃいます。
耐用年数も過ぎているし、部品も作らなくなりそうだし、災害時には閉じ込め事故になりそうだし、ってことで4月の通常総会で「エレベーターリニューアル工事を実施することについて」という議案を提出する予定です。

リニューアル工事っていうのは、主として巻上機・制御盤・モーターの交換を指します。
カゴなどはそのままです。
カゴなどはそのままなので、例えば日立さんのエレベーターのリニューアル工事で三菱さんや東芝さんは受けてくれませんし、見積もりさえ提出してくれません。
3年ほど前に西日本新聞が、エレベーターリニューアル時の特命発注について特集を組んだ時に、つぶやき主に取材に来られて、つぶやき主の意見が紙面を飾ったことがありましたが、
その時と様子は変わっていません。業界の常識ってことみたいです。

海を渡っての管理組合さんは、経費削減のためエレベーターメンテナンスをメーカー系列から独立系に変更していました。
独立系の場合、フルメンテナンスでも月に4万円程度ですから、メーカー系列の6万円程度より随分安くて済みます。
「メーカー系列のエレベーターメンテナンスの場合、費用は月に6万円程度」というのは、覚えておいてほしい金額ですよ。要チェックや!(by スラムダンク)

現在のメンテナンスを実施している独立系のほか、本来のメーカーへも見積もりを依頼しました。
独立系から自社系列のメンテナンスを取り戻すいい機会だと思ったのですが、意に反してあまりいい返事ではありません。
緊急時の信号伝達プログラムの他、いろんな箇所をいじっていることが考えられるので、当社ではお受けしかねる、って雰囲気です。

議案上程する場合、「複数社から見積もりを取って理事会で検討した結果、A社が一番安かったのでA社に発注することにしました。この件ご承認ください」ってするのですが、そうはいかないようです。
エレベーターメンテナンスについては、フルメンテナンスそれともPOG?独立系orメーカー系なのか?長い目で見てどっちがいいのか?よく検討しなければなりません。