マンション管理士の独り言…454

「買ってはいけないマンション」

前々回までは瑕疵担保責任についてつぶやいてきました。
民法では瑕疵担保責任期間は引き渡されたものに瑕疵があることを知って1年間ですが、不動産取引で売主が宅建業者の場合には宅建業法により引き渡し後2年間になっています。
さらに「構造上主要な部分」と「雨水の防水の侵入を妨げる部分」については品確法により10年の瑕疵担保責任期間となっています。
これとは別に不動産業者さん独自のアフターサービス期間だって設けられています。
これらにより、少なくとも2年間か部位によれば10年間は保証してもらえると思っていませんか?それは大きな大間違いです。

確かに多くの良心的な売主さんならば、この期間は保証してくれるのですが、“契約書に何て書いてあろうが、瑕疵保証なんて全くしない”という業者さんだってあるのです。
いくら区分所有者や管理組合が“瑕疵にあたる”、と言ったって、「瑕疵じゃありませんよ。経年劣化によるものです」「この程度の少々の雨漏りは瑕疵じゃありませんよ」と言って全く受け付けてくれません。
県の建築局宅建指導課に聞きましたが、「最終的には当事者で決めてください」です。
スピード違反の様に捕まったら“即!罰金”なんて罰則が規定されていませんから、当事者の話し合いで解決するしかありません。
瑕疵について対応してくれるかどうかは、要は売主次第なのです。

どうしても売主の態度が気に入らず、補償させようとするならば、裁判するしかありません。
裁判するには総会決議が必要ですから、何度も理事会を開催して議案書を練り、組合員へ議案書を配布して総会で承認を得なければなりません。
その上、原告には多くの場合、理事長があたることになります。
これを嫌がる理事長の多いこと。組合員の中にも“事を荒立てたくない、そんなことが世間に知れたら財産的価値が落ちる”なんて反対する人だっています。
まさに悪徳業者の「やるならやってみろ。管理組合の合意が取れるものか。裁判になれば長いことかかるのに、そんなにエネルギーが続くものか」と思うツボです。

さらにこの手の悪徳業者は、管理会社を管理組合からのクレームを出さないように懐柔させる部門としか思っていないことが多く、「そんなクレームをいちいち売主に持ってくるなよ。管理会社で何とか言い含めろよ」みたいな感じで、管理会社に八つ当たりします。
フロントマンも怖くなっちゃって、何とか管理組合を言い含める方向で話を進め始めます。

販売時には、「顧客満足」「お客様第一主義」なんて言っていますが、瑕疵保証やアフターサービスを全く受け付けない業者があったりします。
残念ながら北九州にもあります。R社です。
こんな売主のマンション買うと後で間違いなく後悔します。
つぶやき主のようにいろんな売主さん、管理組合さん、管理会社さんとお付き合いがあると瑕疵やアウターサービスに対するその会社の考え方の違いがわかります。
一般の人にはそんなことはわかんないと思いますが、最低でも買おうと思う売主マンションのアフターに対する対応をその売主マンションにすでに住んでいる人や管理組合さんへ聞くことをお勧めします。

大金出してマンション買うんだから、売主業者の評判くらい調べなきゃ、です。
特にアフターに対する姿勢は大事ですよ。

いくら瑕疵担保期間がいろんな法律で規定されていたって、「売主業者がやらない」と言ったら、実務的にはどうしようもありません。
瑕疵に該当するのか?瑕疵保証期間なのか?なんてことには関係なく、はなからアフターなんて全くやる気のない会社にそれをやらせるのは至難の業ですよ。