マンション管理士の独り言…668

『安保法制』

昨日衆議院で、与党(自民党・公明党)提出のいわゆる「安保法制」が賛成多数で可決しました。全くなっていません。
「安保法制」の中身がどうのこうのより、手続きが間違っています。
安倍シンゾーさんはかつて、“憲法改正という手続きを経なくても解釈の変更でいける。3分の1の少数の議員の反対があったら大多数の議員が賛成している法案が可決されないというのはおかしい”なんてノタマワっていましたが、「冗談も大概にしろよ!」って言いたくなっちゃいます。

マンション管理士のつぶやき主に言わせりゃ、“3分の2の賛成を得るくらいの努力はしろよ、こっちは規約改正では4分の3以上の賛成を得るために必死になって汗かいてんだぞ!”です。
そうです、管理規約の改正やマンション管理組合の法人化、共用部分の重大変更などの特別決議は区分所有法では強行規定なので、承認のハードルを4分の3から上へも下へもいじれないのです。

“うちのマンションンの管理規約はしっかりしたものなので簡単に変更できないように5分の4に可決要件を上げよう”はダメですし、反対に、“その時々の状況に臨機応変に対応できるように3分の2にしよう”も勿論ダメです。どちらも無効です。

区分所有法には、その管理組合独自で総会とか規約で区分所有法の規定とは異なることを決めることができる任意規定と、管理規約改正のように区分所有法と異なる規定を決めちゃうことのできない、決めても無効だよ、っていう強行規定とがあります。
ですから管理規約の改正を案化するときは必死になって4分の3の賛成を得るように行動します。何がなんでも4分の3です。

4分の3というハードルはとても高いものです。築年数の経過したマンションでは総会に参加する組合員さえ4分の3に届かないところが沢山あるなかで4分の3以上の賛成が必要なので、大変な作業になります。
“実務を知らない法律学者が簡単に4分の3なんかに決めやがって”なんて恨み節が思わず口からこぼれちゃいます。

今回の安保法制では1度に11もの法案を審議したようですが、この中にこっそり「区分所有法の特別決議要件を管理組合で変更できる」って法案を忍び込ませてくれりゃ良かったのに、なんて不埒なことを考えています。

5月に「毎晩通常総会だよ攻撃」を何とか乗り切りましたが、8月には管理規約改正を含めた臨時総会が目白押しです。
管理規約改正は改正することが目的ではなくて、なぜ改正するのか?改正することで今までと何がどう違ってくるのか?などを理解してもらうために説明会を開催しなければなりません。改正した管理規約を順守してもらわなきゃ、が最終目的です。
ただでさえ暑い日が続くのになお一層汗をかかなきゃ、です。

マンション管理士でさえこんなに汗かいてんのに、国会議員の先生様はもっと汗かかなきゃ、だよ。シンゾーさんもだよ。