マンション管理士の独り言…673

「いい商品だけど、マンションでは厄介なもの」

とても便利でいい商品だと思うけど、マンションライフでは困ってしまうものがあります。まずは高圧洗浄機。一般の水道圧の40倍もの高圧で水を吐き出し汚れを落とし洗浄するというもの優れものです。
でもマンションライフでは、この高圧洗浄機でバルコニー床を洗浄されちゃうと階下のバルコニーへの漏水が発生することが懸念されちゃいます。
どのデベロッパーのマンションでもバルコニー床には防水しておらず、防水しているのはバルコニー手すり壁際の排水溝だけです。
最近のマンションではバルコニー床には防滑シートを張っていますが、防水はしていませんので、あまり頻繁に高圧洗浄機でゴシゴシやられると階下への漏水が発生しちゃいます。

続いては、ドラム式洗濯機。
節水に効果があるのでしょうが、マンションライフでは少々困りものです。
マンションでは管理組合主導で2年~3年に1度の頻度で排水管高圧洗浄を実施します。台所排水なんて油ものを流しますからラードが排水管内部に溜まってしまいます。
これを2~3年に一度高圧洗浄して綺麗にします。
高圧洗浄する箇所は、台所とお風呂、洗面台、そして洗濯機置き場です。
トイレは用を足すたびに大量の水できれいにしますので、通常は高圧洗浄は行いません。
排水口に専用のスクレイバーというジャバラの蛇の頭のような器具を差し込み、高圧により自走しながら排水管内部を洗浄して進みます。
スクレイバーを排水口に差し込むためには洗濯機をちょっとだけ移動しなければなりませんがドラム式洗濯機は重いのです。
職人さんが2~3人掛かりで動かしますが、それでもなかなか動きません。
また、動かす時にちょっと横にずれて壁クロスなどに傷つけることもあります。
職人さんはとても嫌がります。
ドラム式洗濯機のところは洗浄しませんっていう業者さんもあります。

そして極めつけは柔軟剤です。
洗濯するときに使うアレです。バルコニーに干すときに、この臭いがキツ過ぎるといったクレームが最近は特に増えてきました。
しかしまさか、“柔軟剤を使わないで下さい”って注意書きを張り出すわけにもいきませんし、また、当該住戸へ「お隣から柔軟剤の臭いがキツ過ぎるってクレームが来てますよ。あまり使わないでね」っていうわけにもいきません。
対応に苦慮します。大変厄介です。

開発者もメーカーさんも、そして購入者も「いい商品だ」って思っているのでしょうが、確かにいい商品であることに間違いありませんが、“マンションライフでは使い方を誤らないでね”って感覚が必要です。

もう8月です、まだスピナの榊は元気です。1月に供えはじめ、毎日水替えをしているとはいえ、もう7か月ももっています。
「目黒のサンマ、スピナの榊、お隣のウナギ」です。