マンション管理士の独り言…715

「修繕積立金値上げ手法・・・その1」

今回のリビング北九州誌「マンショントラブル相談室」で、“分譲以来一度も増額していない修繕積立金を増額する案を総会で上程したいので、額の目安や議案化するについての注意事項を教えて?”ってご質問に回答しています。
紙面の関係上、あまり詳しく回答できませんでしたので、独り言でつぶやいちゃいます。

平成23年4月国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、修繕積立金の目安を月額約200円/㎡と設定しています。80㎡ならば16,000円となります。
当然ながらマンションの規模や形状、築年数や、更には大都市なのか地方都市なのかによっても異なってきます。参考数値です。
また、設備によっても大きく異なります。エレベーター台数、共用部設備、給水方式などで異なってきます。機械式駐車場があるマンションでは、修繕積立金額は上乗せされます。

5年に1度実施されているマンション総合調査の直近号(平成25年版)では、修繕積立金の月額平均は11,800円です。
これらの数値が一応の目安となります。

増額するには、長期修繕計画をベースにしなければなりません。
「現行㎡当たり40円の積立金を80円にします。」という議案の場合、何故80円なのかの根拠を示す必要があるからです。
“隣のマンションが80円だから”“それくらいが平均みたいなので”では合意が得られません。
“じゃ70円でもいいじゃん”“今年度は見送って来年からにしたら”なんて言われると、お口モゴモゴです。
“○○年後に実施予定の大規模修繕工事では△△△円が必要で、それを今から積み立てると㎡当たり80円となります”と具体的な数字の根拠がないとなかなか合意が得られません。

さらに積立金増額を組合員へ要求する前には、現在の管理費の見直し~削減も実施しなければなりません。
“管理費を見直し、過剰と思われる管理サービスを取りやめました。また業者へ値引き要請もして毎月必要とされる管理経費を△△△円削減することに成功しました。余った管理費は修繕積立金へ振り替えますが、それでも大規模修繕工事時には不足します。そこで修繕積立金の値上げを提案します。”というのが一連の流れです。

過剰と思われる管理サービスを抽出するに際しても、アンケートの実施も欠かせません。
手間暇かかるものです。
修繕積立金の値上げという組合員へ毎月の支出の負担増をお願いするわけですから、「丁寧の上にも丁寧」を心掛けなければなりません。

修繕積立金の値上げ議案を上程するには、「増額金の根拠として長期修繕計画が必要」「管理費削減に手を付けたのち」というのがセットでなければなりません。

次回はその2の予定です。