マンション管理士の独り言…581

「分譲マンションを投資目的にするな!!」

昨晩“金麦”飲みながら、テレビをボッーと見ていたら、赤い派手なスーツを着たちょっと太めの女性が出ていました。
昔見たことのある芸能人を相手に盛んに話していました。
よく聞いてみると「マンション投資」についてでした。
景気が悪くなっても、給料が下がっても家賃はそんなに下がらないっていうデータを示しながら、「リスクが少なく、高利回りが期待できる」っていうのが結論でした。

と・ん・で・も・な・い。

このちょっと太めの赤スーツの投資コンサルタントは、分譲マンションについてご存じないようです。
もし知っていて、こんな発言をするのならば、金銭だけに目がくらんで、本質を見ることの出来ないただの太っちょ女です。

マンションを購入するというのは管理組合員になるということです。
そこには組合員として議決権1票という権利も保持することになりますが、同時に管理規約や使用細則の遵守義務が生じますし、更には毎月管理費・修繕積立金を負担する義務も生じます。
投資目的の区分所有者が総会に参加しますか?委任状さえ出さないでしょ。
役員に就任しますか?
借りてくれるのであれば、そのマンションのルールを守ってくれそうかどうかなどに拘わらず貸すっしょ。

しかも、空室になって1年もすれば管理費や修繕積立金の滞納を始めるっしょ。
そりゃ、家賃収入が入らないのに、ローンの支払いはあるし、その上管理費や修繕積立金まで支払えないっていう事情があるのはわかりますが、それじゃ管理組合は大変です。
また、どこに住んでいるのか管理組合に届け出さないでしょ。
こんな人が管理費などの滞納を始めれば、どこに住んでいるのかを探し出すのに管理組合はとても大変なんですよ。

南区の某マンションでは、投資目的の住戸がもうかなり長いこと空室です。
そんな中、総会で修繕積立金の値上げが提案されました。
日頃は管理組合活動に協力も参加もしない投資区分所有者が珍しく参加し、値上げ阻止のために大声を張り上げたり、他の人を煽ったりで、結局積立金値上げ案は承認されませんでした。
投資区分所有者にすれば、家賃収入はない、ローンの支払いは重くのしかかる、この上積立金を値上げされちゃかなわない、ということで阻止に動いたのでした。
怒声が飛び交う総会になってしまったので、来年は総会参加者が減らなきゃいいなと、危惧しています。

賃貸マンションに投資するのは、どうぞご自由に。
でも分譲マンションに投資するのは止めてください。太っちょの女性ももっと分譲マンションの事を勉強して投資を勧めないでください。

投資区分所有者は、自分は管理組合活動に全く参加しないのに、管理組合がしっかり活動しているおかげでエントランスもいつもピカピカ。そのおかげで高い家賃を設定できる。
管理組合におんぶに抱っこ状態なのを忘れて、自分は組合員としての責任を果たさない。
これってフェアーじゃないでしょ。