マンション管理士の独り言…657

「悪戦苦闘」

マンション管理組合は民法上、「権利能力なき社団」という扱いになります。
総会の特別決議で4分の3以上の賛成を得て法人化している管理組合さんもたまには見かけますが、ほとんど全ての管理組合は「権利能力なき社団」です。
権利能力がないので、基本的には法律行為は出来ませんし、契約の当事者にはなれません。預金名義だって、何かの工事を発注する場合でも“○○マンション管理組合 理事長△△△△”となっちゃいます。個人名での発注や名義となります。
預金をしたり工事発注したりと何かを始めようとする時はそれ程不便さを感じませんが、これが中止したり廃止しようとする時は結構、というよりソートー手間暇かかります。

新たにお世話する事になった若松の管理組合さんです。
給水方式をそれまでの受水槽増圧方式から直結増圧方式へ変更しました。
今まではポンプに異常があった場合は、電話回線を使って管理会社へ異常を知らせていましたが、今回からはパトランプを設置し、異常あれば黄色く点灯する方式へ変更しました。
電話回線が必要なくなり廃線手続きをつぶやき主が行うこととなりました。

166へ電話して待たされる事30分。やっとオペレーターの女の子につながりました。
「マンション管理組合のものですが、使わなくなった電話回線を廃止したいのですが」
「今電話をいただいているお客様が開線手続きを取られたのでしょうか?」
「いいえ違います」
「では、廃線のお申し込みはお受付できません。廃線のお申し込みが出来るのは開線された方だけです」
「そんなこと言ったって、誰が開線したかわかんないし、管理組合宛に請求書も来てるじゃん。今の理事長が理事長である事を証明すれば手続き出来るの?」
「イエ、債権の問題もありますし、基本的には開線お申し込み者に限られます。」
「じゃ、誰が開線したのか教えてよ」
「ご事情はよくわかりますが、個人情報の関係もありお教えできません」
苦労の始まりです。

そこでおそらく初代理事長だろうと目星を付けお願いしました。
「そう言えばそんな気もするな」ってことで快く引き受けていただいて116へ電話してもらいました。
ですが、「ブッーブッー、違います」です。
初代理事長も粘って交渉していただいたようですが、やはり「ご事情はよくわかりますが、個人情報の関係もありお教えできません」です。
迷路に入り込みました。

管理会社へ聞いても分かんないというし、初代でダメなら2代目理事長ならどうだってことで、事情を話し、ご理解いただき116へ電話してもらいました。
「ピンポ~ン。この方でした。」

電話回線を廃線するだけでソ~ト~なエネルギーを費やしました。

運が良かったのかもしれません。
このマンションは築15年で比較的新しいので初代、2代目と当時の理事長さんがまだ転居せずにお住まいだったので何とか手続き出来ましたが、もしいなかったりしたら、もっと大変な作業になっているところでした。

ストレス溜まります。金麦ばっかりじゃなく、門司港地ビールのヴァイツエン飲みたい。
仕上げは小倉駅の8番プラットホームの“かしわソバ”