マンションの管理士の独り言・・・963

マンション管理士の独り言・・・963

「買戻し特約」

折尾クロステージでは、土地の売主が北九州住宅供給公社で、建物売主は九州三共さんをはじめとする地場デベロッパーのジョイントベンチャー(略称:JV)です。
購入者が錯覚してはいけないのは、住宅供給公社はただ単に土地の売主であって建物の瑕疵については全く責任がないという事です。
土地売買契約書の第1条の2にしっかりと記載されています。
もし営業マンが“公社が関与しているマンションですから建物についても安心ですよ”なんてトークしていたらそれは、誤りです。

土地の売主は公社、建物売主は地場デベさんのJVという同様の分譲手法は、門司マリーズやヌーベラージュ、ネクスタージュ高見でも見られます。
この手法で土地売主が公社さんの場合、買戻し特約が付けられています。
折尾クロステージでは、10年間の買戻し特約が付けられています。登記も行うようです。
買戻し特約というのは、例えば家を建築する人に限るという条件で土地を分譲し、売渡したのに、その購入者がいつまで経っても家を建築せず、更地のままで第3者へ転売し、譲渡益を得ようとするということを防ぐために、設定されるものです。
バブル華やかしき頃は、公社さんの分譲地は数倍もの抽選倍率で購入希望者がいるような状態でした。土地は持っていれば値上がりが確実といわれるような時代でした。
公社さんの分譲地を購入し、家を建築せずに更地のまま値上がり益期待で売り抜けようとする不届き者を排除するために買戻し特約は設定されていました。
買戻し特約はそれなりに意味があり、また効果もありました。

しかし、マンション敷地に買戻し特約を設定する意味はありません。買戻し特約が設定された土地には、マンションが建築されているのです。しかも敷地権登記がなされているので、土地と建物とは一体化されており、それぞれを分離して売買できません。
なぜ、相変わらず土地に買戻し特約を設定するのか理解できません。

“設定されていても別にいいじゃん”とはいきません。
買戻し特約期間の満了する10年後には、買戻し特約は失効します。効果がなくなります。でも買戻し特約登記は設定されたままです。所有者は、買戻し特約が失効した10年目以降に公社さんに、買戻し特約抹消の書類を発行してもらい、法務局で抹消手続きを行わなくてはなりません。10年経過して買戻し特約が失効したから自動的に当該登記が抹消されるというものではありません。

お世話している小倉南区のマンションは築26年ですが、公社さんの買戻し特約が設定されたままです。
途中で売買を行ったりした住戸に関しては、買主さんへの所有権移転時に抹消登記も行っていますが、ずっと所有者が変わらないままの住戸に関しては、買戻し特約登記が残ったままになっています。
面倒くさいことをしています。

ヌーベラージュやネクスタージュに関しても買戻し特約が付いていますので、内容を確認することが大事です。
折尾クロステージを買われた方は、「買戻し特約」について覚えておかれることをお勧めします。

昨日は戸畑区役所で町内会長さんを集めてセミナーを行いました。
12月10日は門司区です。来年は八幡西区、小倉南区、小倉北区と続きます。