マンション管理士の独り言・・・1033

マンション管理士の独り言・・・1033

「入居者名簿」

最近の裁判例です。大規模修繕工事を特命発注しようとした理事会に対し、組合員から信頼できる業者を複数推薦してもらって、競争入札して業者を決定すべきだと考えた理事の一人が、組合員総数の5分の1以上の署名を集め臨時総会を招集しようとしました。
その過程の中で、理事長に対し入居者名簿の閲覧を求めましたが、理事会が拒否しました。
理事会の言い分はこうです。
①その理事は理事会で意見して特命発注を止めさせることが出来たのにそれをしないで、いきなり臨時総会開催するから、入居者名簿の閲覧を求めるというのは権利の濫用だ。
②プライバシー保護の観点から、謄本で見ることのできる住所・名前は閲覧を認めるが緊急時の連絡先である電話番号まで見せる必要はない。

そして裁判所の判断は以下です。
①理事会は、臨時総会が開催されると特命発注について議論されるのが嫌なのがミエミエ
②組合員として健全な管理組合活動として認められている組合員の5分の1以上の発議で総会開催できるという権利を妨げちゃ、ダメじゃろ
③健全な管理組合活動のためという目的がはっきりしているのに対し住所氏名のほか、電話番号を教えないでいいという合理的理由はない。
ということで、全面開示が認められました。

つぶやき主も3度この組合員の5分の1以上の発議でもっての臨時総会開催にトライしたことがあります。
1度目は理事長が組合員名簿を見せてくれないので、謄本をとって全員へ議案書を送り何とか開催へこぎつけました。
定足数も確保でき総会自体は有効に開催されましたが、理事長が理事長派からの書面議決権行使書を集めてきて、すべての議案が否決されました。
2つ目は、これも理事長の賛同が得られず謄本とって議案書配布となりました。
総会当日皆が集会室へ集まりましたが、委任状などを集めることが出来ず、定足数にあと一歩足りず、総会は有効開催とはなりませんでした。
3つ目は、福岡の管理組合さんでこれも大規模修繕工事に絡んで業者発注の仕方が不透明ということが理由でした。
つぶやき主が簡単なアドバイスをして、すぐに臨時総会開催発議をしちゃいました。
組合異数の5分の1以上での発議の場合には、「会議の目的を記す」ことが必要なのに、これを記載せずに発議したので理事長サイドからの反発にあい、敢え無く撃沈です。
“まだ、発議しちゃだめですよ。つぶやき主が発議書を作るまで待っててね”と言っておいたのに、気の早い方がいてフライングしての失敗でした。
これら3つの管理組合さんはまだ内部でゴタゴタやっています。

入居者名簿の閲覧に関し、以前は閲覧のみで謄写(コピー)は不可というのが裁判所の判断でしたが、最近はスマートフォンの発達もあってか、写真撮影はOKとする裁判例も出ています。時代の流れです。

自然災害が頻発する昨今、防犯上の観点からも精度の高い入居者名簿の作成が必要です。
しかし管理組合も一昨年から個人情報保護法の適用を受けることとなりましたし、何よりプライバシー保護の観点から取り扱いには十分注意することが必要です。
今回のつぶやきが、ご参考になれば・・・。

8月末に小倉駅横の積水ハウス「ガーデンシティ小倉」内覧会です。これは楽しみ