マンション管理士の独り言・・・1045

マンション管理士の独り言・・・1045

「売主の責任 未竣工物件を売るなら分かり易く説明しなきゃ」

マンション売主さんが目指すのは竣工完売です。
先日大手デベロッパー販売センター長と話しましたが、販売開始してすぐに完売しちゃうと周りからは羨ましがられるけど、上司からは“もう100万円ずつ上乗せしていても売れたんじゃ、ないのか!値付けが甘かったんだよ”とお叱りを受けちゃいます、とボヤいていました。
今も昔も変わりません。デベロッパーが目指すのは竣工完売です。

マンションを販売開始する時期は宅建業法によって制限されています。
「この土地にこのような建物を建てますよ。建築基準法はじめもろもろの法規には適合していますので確認してください」ということで確認申請を提出します。
受理した検査機関(北九州の場合、日本ERIが多い)は図面書類を確認して、「適合していますよ」と確認をおろします。
この確認申請がおりるまでは販売を開始できませんし、申し込みなども受け付けられません。
もし受け付けたら宅建業法違反となりますので、そんな馬鹿なフライングをするデベさんはいません。
これは、まだ確認できていない状態、つまりこの土地にこのような建物が建てられるかどうか決定していないのに販売してはならない、と決められているのです。
確認がおりたら、建築基準法などの法規的には違反しておらず建てられることが確定したので、販売を開始してもいいよ、ってなっています。

デベさんは、まだ建っていないマンションを購入してもらうためにパンフレットやモデルルームを用意して出来上がり感を実感できるように設えます。
“わざわざモデルルームなんて造らずに竣工してから売ればいいじゃん”という意見もあります。“実物を見て、触って、眺望を体感してもらえれば結論も早いじゃん”です。
しかし竣工後1年を過ぎれば建築基準法上は新築ではなくなりますし、また品確法の適用からも除外されてしまいます。
まだ人は一度も住んでいないにも関わらず新築じゃなくなります。
これでは商品価値が下がるため何としても竣工後1年以内には売り切ってしまわなくてはなりません。
竣工後1年以内に売り切ってしまう自信がないので、まだ野っ原の状態から販売を開始するのです。
しかしまだ竣工していないマンションを売るのですからそこには当然責任が生じます。
未竣工物件を購入するお客さんは、竣工後をイメージできるのはパンフレットやモデルルームしかありません。
これらを見て、これなら!という気持ちで購入するのです。
デベさんは、このパンフレットやモデルルームと異なる仕様や設備のものを造っていけないというのが最低限のルールです。
それでも建築途中に寸法とか収まりの関係上、どうしてもモデルルームなどとは異なる仕様にしなくてはいけなくなることがあります。
この変更に対してどのように購入者に対して説明するのかでそのデベさんの評価が決まります。

4月に竣工したパークハウス桜坂サンリヤンは見事なものでした。些細な変更でも全て変更が決まったらすぐに購入者へお知らせしました。変更図面は20数ページに及んでいます。本当に些細なことでも漏れなく、しかもその都度お知らせしています。
北九州では、リビオシリーズもキチンとしています。変更後と変更前を図面に落とし込み、さらに何故このような変更になったのかの理由も記されています。

残念ながら北九州は遅れています。変更を全く購入者へ知らせることなく、変更に気づかれたら、パンフレットに「施工上多少の変更が生じる場合がございます」って載っていますよ、で切り抜けようとします。
こんな対応しかできないデベさんは未竣工物件を売ってはいけません。皆が迷惑します。

設備・仕様などがパンフレットやモデルルームから変更された場合、どのデベさんがどのように対処しているのか知りたいっていう人は、沢山の資料を持ったつぶやき主がコッソリ教えちゃいますよ。